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ダニー・ボイル監督お蔵入りの『007』、詳細が明らかに ─ 舞台は「全てロシア」、製作陣は「自信を失くした」

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
NO TIME TO DIE © 2021 Danjaq & MGM. NO TIME TO DIE, 007 Gun Logo and related James Bond Trademarks, TM Danjaq. Package Design © 2021 MGM. All Rights Reserved.

今では『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』として知られるダニエル・クレイグ最後の『007』となったシリーズ第25作の監督には当初、『トレイン・スポッティング』シリーズや『スラムドッグ$ミリオネア』(2008)などのダニー・ボイルが起用されていた。後にクリエイティブ上の相違により降板したボイル監督だが、このたびお蔵入りとなった物語のアイデアが明らかになった

ボイル監督の起用が発表されたのは、2018年5月。ボイル監督は、『トレイン・スポッティング』シリーズや『ザ・ビーチ』(2000)などでタッグを組んできた脚本家のジョン・ホッジと共に脚本を構想していた。しかし、同年8月にボイル監督の降板が伝えられ、その理由としてプロデューサー側との創造上の違いが挙げられていた。

後任にキャリー・フクナガ監督が抜てきされると、プリ・プロダクション(撮影前準備)は仕切り直し。新たな脚本家や製作スタッフも参加し、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は完成した。製作陣がゴーサインを出さなかったボイル監督による物語とは、どのようなものだったのか。このたび英Esquire UKでは、ボイル監督本人が当時を振り返り、「私は“このフランチャイズに関わるべきなのか。彼らは違うものを求めているのに”というふうに考えていたのを憶えています」と語りながら、物語の詳細を明かしている。

「おかしなことですが、今ではすごく時事的な内容でした。舞台は全てロシア。ボンドの出自でもありますよね、冷戦という意味で。(物語は)現代のロシアの話だったんですけど、彼のオリジンに回帰するものでした。ただ、彼ら(製作陣)はかける言葉を失ったようで、自信を失くされてしまった。すごく残念でした。

ボイル監督が“時事的な内容”と語ったのは、現在も続くロシアによるウクライナ侵攻を受けてのことだろう。一方『007』シリーズは、『ロシアより愛を込めて』に代表されるとおり、東西冷戦下を題材とした物語がクラシックとされている。時代の変容にあわせ、物語の歩み寄りを見せた映画シリーズでは、5代目ボンドのピアース・ブロスナン作品から“ポスト冷戦”をテーマとした作風に変わっていったことも有名だ。

降板時を回顧したボイル監督だが、フクナガ監督が手がけた『ノー・タイム・トゥ・ダイ』には好評価を与えている模様。ダニエル・クレイグ版ボンドの締めくくりとなった同作について、ボイル監督は「子どもを登場させていたのは僕たちには無かったアイデアで、素晴らしかったなと思いました」と語っている。

ところでボイル監督は、2012年のロンドンオリンピックの開会式で行われた『007』50周年の演出を担当した人物であり、『007』シリーズと無関係なわけではない。そうなると今後も続くであろう『007』映画シリーズの監督に再び起用される可能性もありそうだが、ボイル監督自身、どう考えているのか。監督の答えはこう。「そう(監督する)とは思いませんね」。現時点では否定的のようだ。

ちなみに、世間からの注目度が高い次期ジェームズ・ボンド役の発表には、ボイル監督も楽しみにしているよう。監督自身、このたびの取材で、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)で鮮烈なバットマンデビューを果たしたばかりのロバート・パティンソンを推している。

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Source: Esquire UK

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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