『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』衝撃の別案が存在していた ─ 「もしも全てボンドの頭の中で起きていたら?」

ダニエル・クレイグ最後のジェームズ・ボンド映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、エモーショナルな展開で締めくくられる“きれいな”仕上がりとなった。しかし、プリ・プロダクション(撮影前作業)の段階では奇抜なアイデアも幾つか存在していたようで、メガホンを取ったキャリー・フクナガ監督が別案の内容を明かしている。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、ダニエル・ボンドの完結編ということもあり、2006年公開の第1作『007 カジノ・ロワイヤル』に始まったストーリーを軸とした展開が繰り広げられた。しかし、フクナガ監督が考えていた別案は、どちらかと言えば前作『007 スペクター』(2015)の続編色が強いアイデアに基づいていた。米Interview Magazineで監督が明かした衝撃のアイデアは以下の通りだ。
「この映画の全てが、前作であったヴィランの隠れ家で展開されるというアイデアが僕にはあったんです。(『スペクター』では)ジェームズ・ボンドの頭に針が刺されるシーンがあるんですけど、そのせいでボンドは全てを忘れてしまう。そのあと奇跡的に腕時計の爆弾を使って逃げ出せて、建物を爆破して1日を生き延びたという流れでしたよね。だけど、僕はこう考えたんです。“もしも、2人(ボンドとマドレーヌ)が取った最後の行動までの全てが、ボンドの頭の中で起きていたことだったら?”って。」
フクナガ監督が言及しているのは、クリストフ・ヴァルツ演じるエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドが北アフリカの砂漠に構えていた秘密基地での一幕。ブロフェルドは、ボンドを拷問台に縛り付け、脳機能を破壊する特製の針を頭部に突き刺すという卑劣なやり方でいたぶった。その後なんとか脱出に成功したボンドとマドレーヌは、ブロフェルドとの死闘を制したわけだが、フクナガ監督は、「実はボンドがブロフェルドに操られていた」という着想を拷問シーンから得たのだろう。
もしもダニエル版シリーズ5作が、この別案で進められていたら……?そのエンディングこそ思案のしどころだが、完成版ではストーリーが色濃く反映されていた『ノー・タイム・トゥ・ダイ』というタイトルは、全く違うものになっていたはず。フクナガ監督が明かした別案は、アイデアとしてはシリーズ史上最も斬新だったかもしれないが、ダニエル・ボンド最後の『007』だ。慎重に検討を重ねられた結果が、高評価の声が多く聞こえる『ノー・タイム・トゥ・ダイ』だったのかもしれない。
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Source: Interview Magazine