『007 慰めの報酬』ボンドガール、海上アクションで死を覚悟「今日が私の死ぬ日なんだ」

ダニエル・クレイグ主演『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)が大成功を収めてから僅か2年で第2作『007 慰めの報酬』(2008)が公開された。前代ボンドガールを務めたエヴァ・グリーンの後を継いで『慰めの報酬』でボンドガールの1人に抜擢されたのは、当時ほぼ無名のウクライナ出身女優オルガ・キュリレンコだ。
持ち前の長身スタイルのみならず華麗なアクションでボンドガールにふさわしい活躍を見せたキュリレンコだが、その裏側ではなんと撮影中に「死」を覚悟していたという。
キュリレンコがそう話すのは、元ボリビア軍事政権トップであるメドラーノ将軍とカミーユ(キュリレンコ)が乗るジェットボートをジェームズ・ボンドが追跡、そこで繰り広げられた海上アクションシーンの撮影時でのこと。米Cinema Blendの取材に応じたキュリレンコはこの時を振り返り、「“今日が私の死ぬ日なんだ、今日死ぬことになるんだ”と思ったのを憶えています」と鮮明に語った。確かに同シーンでは猛スピードでの激しいボートチェイスが行なわれ、ボート同士が衝突、実際にスタントもしくはCG加工無しで行うにはかなりの危険を伴うシーンだ。このシーンの撮影にはキュリレンコもさぞ恐怖を感じたことだろう。
「かなり激しかったですよ。だって本当に行なわれていたんですから。“これはCGでしょ”と思うかもしれませんが、違うんです。ボートに乗っていて、私達に向かって他のボートがまっすぐ迫ってきていたんです。超高速で互いのボートに向かって海上を走っていたんですよ。」
キュリレンコによれば、スタント・コーディネーターから同シーンは命を伴うアクションだと宣告されていたのだとか。恐怖に震えるキュリレンコに対して、コーディネーターは「オルガ、めちゃくちゃ真剣なことなんだ。しっかり掴まっててくれるかい?何があっても命の為に掴まってくれ。衝撃がすごく強くて、海に飛ばされちゃうかもしれないから」と伝えたそうだ。これに対して当時のキュリレンコは「え、ほんとにやるんだ」と実感したという。「ボートが私達にリアルにぶつかったんです。モーションキャプチャーとかじゃなくて、ホントだったんです。私は“え、この人たちふざけてるんじゃないんだ”って思いましたよ」。
「怖かったけど、演じなきゃいけなかった」とキュリレンコ。確かに、この場面ではボートチェイスと同時に、ボンドとカミーユが揉み合うシーンや銃撃戦が展開されていた。ただボートに乗るだけでは無いのだ。キュリレンコは「私は彼(ボンド)に何かを叫んでいて、演じるよりマシだったんです。あれは全部リアル(な感情)でしたから。かなり危険を感じていて、怖がったふりなんてしませんでした。ホントに危なかったんです。恐怖を感じていたんです」と語っている。
この一方で、キュリレンコは「いま考えると面白いですね。良い思い出です」と当時を振り返っている。ところで、“私たち”とキュリレンコは話しているが、数々の危険かつ激しいアクションをこなすボンド役のクレイグは、このアクションシーンを物ともしなかったのだろうか。それとも……。
Source: Cinema Blend