エリザベス女王亡き後のジェームズ・ボンド ─ 『007』シリーズのプロデューサー「ショックは大きい」

映画『007』シリーズの主人公ジェームズ・ボンドは、何十年にもわたりイギリスの女王陛下に忠誠を誓ってきた。2022年9月8日(英現地時間)にエリザベス女王2世が96歳で逝去したことを受け、シリーズにはどのような影響が出るだろうか?『007』シリーズのプロデューサー、バーバラ・ブロッコリとマイケル・G・ウィルソンが米The Hollywood Reporterに語っている。
エリザベス女王と『007』の縁は深い。エリザベス女王が即位したのは1952年、ボンドが誕生した『007』シリーズ第1作目『カジノ・ロワイヤル』が出版されたのは1953年だ。ボンドは常に‟女王陛下の007”として、この長い時代を生きてきたといえるだろう。
女王自身も『007』ファンだとされており、『007は二度死ぬ』(1964)、『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002)、『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)など同シリーズのプレミアに何度も出席。初代ボンドのショーン・コネリーと最多7作品に主演したロジャー・ムーアには、ナイトの称号を授与している。
しかし、女王との関わりで最も印象深いボンド役といえば、2012年ロンドン五輪の開会式で共演したダニエル・クレイグだろう。女王は同企画に積極的に参加し、自ら「こんばんは、ミスター・ボンド」というセリフを希望したといわれている。
エリザベス女王が逝去した今、インタビューでは「『007』シリーズにおいて、女王はどのような意味を持つのか?」という質問が。これに対し、プロデューサーのブロッコリは次のように回答している。
「おっしゃるとおり、ボンドは女王と国のために働き、そしてこれからは国王と国のために働くことになります。ボンドは英国政府に非常に忠実に仕えていました。彼は、個人的な欲望よりも世界や人類を思いやる古典的なヒーローです。イギリスにとって今は非常に悲しい時期であり、明らかに大きな転換期が訪れましたが、確実に彼女はとても素晴らしい遺産を残してくれました。」
続いてウィルソンは、以下のようにコメント。
「彼女は長年にわたり、ボンド映画の偉大なサポーターでした。チャールズやウィリアムなど、王室の他の方々も同様です。彼女は統率力のある方でした。彼女のことを1人の人間として深く考えていなかったでしょう。その時が来ると予測していたとしても、ショックは大きいですね。」
また、女王との個人的の思い出については「彼女が上映会に来るたびに、キャストやスタッフを紹介したぐらいです」とウィルソンは語り、「フィリップ殿下も大のボンドファンでした。彼はとてもリアクションが良かったですね。僕らが会場に一緒にいると、笑って拍手してくれるんですよ」と貴重なエピソードを披露している。
今後はチャールズ国王統治のイギリスで製作される『007』シリーズ。ボンドがエリザベス女王以外の君主の下で活動するのは、映画シリーズ史上初であろう。新しい時代の7代目ボンド役を射止める新キャストにも注目が集まる。
Source:Hollywood Reporter, Hollywood Reporter