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マーベル映画、第91回アカデミー賞で大躍進 ─ 『ブラックパンサー』7部門ノミネート、『アベンジャーズ』『スパイダーマン』も

ブラックパンサー
Black Panther (2018) Directed by Ryan Coogler ©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

2019年1月22日、第91回アカデミー賞の全ノミネートが発表された。最多ノミネートは『ROMA/ローマ』『女王陛下のお気に入り』の10部門だが、やはりTHE RIVERとしてはマーベル映画の躍進に注目しておかなければならないだろう。

『ブラックパンサー』7部門ノミネート

去る2018年3月、米国で社会現象ともいうべき大ヒットとなった『ブラックパンサー』(2018)は、アメコミ映画として史上初の作品賞を含む7部門でノミネート。以前「人気映画部門」の創設が発表された際、「『ブラックパンサー』を作品賞から排除するための部門ではないか」と激しい反応が生まれたことがあったが、作品賞へのノミネートによって本作はアカデミー賞の歴史に名を刻むこととなった。

ブラックパンサー
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

『ブラックパンサー』がノミネートされたのは作品賞のほか、作曲賞(ルドウィグ・ゴランソン)、歌曲賞(「All The Stars」)、美術賞(ハナー・ビーチラー)、衣裳デザイン賞(ルース・E・カーター)、録音賞、音響編集賞の7部門。ライアン・クーグラー監督は惜しくも監督賞・脚色賞を逃したが、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長はノミネートの発表後、米The New York Timesにて監督への感謝を表明している。

「プロデューサーができる一番の仕事は、言いたいことのある人間を見つけることなんです。語るべきストーリーを持っていて、世界が反応してくれる方法で伝えることができる人。ミスター・クーグラーがやってくれたのは、そういうことなんですよ。」

なお今回のノミネートに際しては、マーベル・スタジオを有するマーベル・エンターテインメントのほか、キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスも「素晴らしい!関わったみなさん、おめでとうございます。(ノミネートは)ふさわしいことです」とのメッセージを贈っている。

マーベル映画の躍進、歴史の転換点となるか

『ブラックパンサー』と同じくマーベル・シネマティック・ユニバース作品としては、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)が視覚効果賞にノミネートされた。これにはアンソニー&ジョー・ルッソ監督やアイアンマン役ロバート・ダウニー・Jr.、ハルク役マーク・ラファロら関係者もSNSにて反応。なお、ルッソ監督は『ブラックパンサー』の7部門ノミネートについても賞賛のコメントを寄せた。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』サノス
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

「スパイダーマン映画史上最高傑作」との高評価が寄せられている、『スパイダーマン:スパイダーバース』は長編アニメーション賞へのノミネートを果たした。過去に製作されてきた数々の映画版『スパイダーマン』において、作品としてアカデミー賞へのノミネートを受けるのは本作が史上初だ。

長編アニメーション映画賞は2001年の創設以来、ディズニー/ピクサー作品が受賞する傾向が非常に大きい。今回は『インクレディブル・ファミリー』『シュガー・ラッシュ:オンライン』という強敵を相手取る形となっているが、『スパイダーマン:スパイダーバース』はすでにゴールデングローブ賞や全米製作者組合賞、放送映画批評家協会賞など数々の映画賞を受賞済み。この勢いに乗って、いよいよオスカー像を手にすることとなるか…!

スパイダーマン:スパイダーバース
SPIDER-MAN: INTO THE SPIDER-VERSE

『ブラックパンサー』、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、そして『スパイダーマン:スパイダーバース』。現在のアメコミ映画&ヒーロー映画ブームを呼び起こすに至った『アベンジャーズ』(2012)のマーベル・シネマティック・ユニバースが10年を迎え、ひとつの区切りに到達しようとしている現在、マーベル・コミック原作映画はアカデミー賞という映画業界最大のステージでも大きな躍進を示した。同ユニバースからは独立した『スパイダーマン:スパイダーバース』の存在も、ヒーロー映画やコミックの映画化という意味で重要なポイントといえるだろう。

『ダークナイト』(2008)が作品賞を逃して以来、『ブラックパンサー』はアメコミ映画として10年越しの雪辱を遂げることとなった。これをきっかけとして、今後のアカデミー賞にはヒーロー映画が数々登場してくることとなるのか、それとも……。第91回アカデミー賞授賞式は、アメコミ映画とアカデミー賞の両方にとって歴史の転換点となりうる機会といって過言ではないだろう。

第91回アカデミー賞授賞式は2019年2月24日(米国時間)に開催予定

Source: The New York Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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