映画『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』 あらすじ、キャストまとめ ─ これは殺人事件か、超常現象か

アガサ・クリスティの探偵小説を原作とする「名探偵ポアロ」映画シリーズ第3弾『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』が日本公開を迎える。オリエント急行、ナイル川に続く新たな事件現場は、海上都市・ベネチアだ。
降霊会で起きる超常現象、そして招待客が“人間には不可能”と思
本記事では、いよいよ上映された注目の第3作の基本情報をまとめた。あらすじや出演キャストなどを一挙にご紹介したい。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』あらすじ

第二次世界大戦終結から2年後の1947年。一線を退いたポアロは、“水上の迷宮都市”と称されるイタリア・ベネチアで静かな日々を送っていた。ある日、友人の探偵作家より「死者の声が話せる」という霊能者のトリックを暴くことを依頼されたポアロは、子どもがたくさん集まるハロウィーンパーティに招待され、かの霊能者が主催する降霊会に参加することになった。
降霊会に集まったのは、1年前に亡くした娘との接触を望む依頼主の夫人をはじめ、それぞれ悩みを抱えたような面々。やがて天候が悪化してしまい、屋敷から身動きができなくなる中、接待客の1人が人間には不可能と思われる方法で殺されてしまう。百戦錬磨のポアロにとっても、これほど不可解な事件は初めて。果たして、これは人間の仕業?それとも亡霊の悪戯なのか。ポアロ自身も命を狙われ、事件は思いがけない展開へと進んでいく。
原作小説『ハロウィーン・パーティ』
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の原作となったのは、クリスティ第60作目の長編小説『ハロウィーン・パーティ』。1969年に出版された本書は、映画公開にあわせて2023年8月にハヤカワ文庫より新訳版が出版された。

『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』出演者
ケネス・ブラナー/エルキュール・ポアロ役

世界一の名探偵。隠遁生活を送っていたが、旧友からの依頼により、霊能者のトリックを見破るべく降霊会に参加する。
演じるのは、前2作から続投のケネス・ブラナー。主演・監督・脚本家として『ヘンリー五世』(1989)をはじめ、数々のシェイクスピア作品を映像化してきた。近年の主な監督作としては、『オリエント急行殺人事件』(2017)『アルテミスと妖精の身代金』(2020)『ベルファスト』(2021)『ナイル殺人事件』(2022)など。俳優としての最新作は、『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』と『オッペンハイマー(原題)』。
ミシェル・ヨー/レイノルズ役

謎めいた霊能者。ハロウィーンの夜に降霊会を開催する。
演じるのは、映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演女優賞を受賞したミシェル・ヨー。直近では、『トランスフォーマー/ビースト覚醒』(2022)でエアレイザーの声を務めた。今後は『アバター3(原題)』への出演も控えるなど、大作が続く。
ティナ・フェイ/アドリアニ・オリヴァ役

ポアロの旧友のミステリー作家。レイノルズの降霊会の参加を持ちかける。
演じるのは、コメディ界で名高い女優、脚本家のティナ・フェイ。1999年に「サタデー・ナイト・ライブ」で女性初のヘッドライターに起用される。2004年公開の『ミーン・ガールズ』で初の映画脚本を手がけた。ほか、「30 ROCK/サーティー・ロック」(2006-2013)や「アンブレイカブル・キミー・シュミット」(2015-2019)『ソウルフル・ワールド』(2020)での脚本・出演などで知られている。
ケリー・ライリー/ロウィーナ・ドレイク役

最愛の娘アリシアを亡くした母親。娘の霊と対話するために降霊会をレイノルズに依頼する。
演じるのは、ロバート・ダウニー・Jr主演の『シャーロック・ホームズ』シリーズでメアリー・モースタン役を演じたケリー・ライリー。ほか、『フライト』(2012)や「イエロー・ストーン」(2018-)などで知られている。
カミーユ・コッタン/オルガ・セミノフ役

ドレイク家の献身的な家政婦。生前のアリシアを娘のように可愛がっていた。
演じるのは、フランス出身のカミーユ・コッタン。フランス映画だけでなく、「キリング・イヴ/Killing Eve」(2018-2022)や『ハウス・オブ・グッチ』(2022)『スティルウォーター』(2022)など、ハリウッドでの出演作も多い。
ジェイミー・ドーナン/ドクター・フェリエ役

悩みを抱えた医師。軍医としての従軍で心を病んでいたが、ロウィーナの頼みによりドレイク家の主治医になる。
演じるのは、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズで一躍注目を浴びたジェイミー・ドーナン。「ワンス・アポン・ア・タイム」(2011-2018)や『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』(2016)『ハート・オブ・ストーン』(2023)などに出演。ケネス・ブラナー監督とは、『ベルファスト』からの連続タッグとなる。
ジュード・ヒル/レオポルド・フェリエ役

ドクター・フェリエの息子。10歳。エドガー・アラン・ポーのミステリ小説を愛読する賢い少年。精神的に不安定な父を支える。
演じるのは、『ベルファスト』で長編映画デビューを飾ったジュード・ヒル。ドラマ「カササギ殺人事件」(2022-)にも出演している。『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』では、ブラナーとの再タッグ、ドーナンとの二度目の親子役に挑んでいる。
エマ・レアード/デズデモーナ・ホランド役

降霊会でレイノルズのアシスタントを務める。何やら誰にも知られたくない秘密を抱えているようだ。
演じるのは、ジェレミー・レナー主演ドラマ「Mayor of Kingstown」(2021-)で注目を浴びた気鋭女優、エマ・レアード。ドラマ「クラウデッド・ルーム」(2023)ではトム・ホランド演じる主人公の恋人役を演じた。
カイル・アレン/マキシム・ジェラード役

ロウィーナの亡き娘、アリシアの元婚約者。何者かによって降霊会に招待される。
演じるのは、スティーブン・スピルバーグ監督作『ウエスト・サイド・ストーリー』(2020)でジェッツのメンバー・バルカン役を演じたカイル・アレン。ほか、『明日への地図を探して』(2021)『イン・ビットウィーン』(2022)で主演を務めるなど、注目の若手俳優だ。
リッカルド・スカマルチョ/ヴィターレ・ポルトフォリオ役

ポアロのボディガードを務める元警部。ベネチアでの静かな生活を守る。
演じるのはイタリアの俳優、リッカルド・スカマルチョ。イタリアでは20代前半より注目されはじめる。『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017)や『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019)などでの出演で知られている。
「名探偵ポアロ」映画シリーズ前2作振り返り
シリーズ前2作『オリエント急行殺人事件』と『ナイル殺人事件』も振り返っておこう。エルキュール・ポアロという男の内面の変遷も楽しめる本シリーズ。過去に遭遇してきた事件を覗いてみよう。
『オリエント急行殺人事件』(2017)
名探偵エルキュール・ポアロは、エルサレムで教会の遺物が盗まれた事件を鮮やかに解決し、イスタンブールで休暇を取ろうと考えていた。しかし、イギリスでの事件の要請を受け、ポアロはトルコ発フランス行きの豪華列車「オリエント急行」に乗車する。その車内でくつろいでいたポアロは、大富豪のラチェットに話しかけられる。自分は脅迫を受けていると言い、身辺の警護を頼むラチェットだが、ポアロは頼みをあっさりと断った。
深夜。オリエント急行が雪崩のために脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生する中、ラチェットが死体で発見された。列車にいたのは、教授、執事、伯爵、伯爵夫人、秘書、家庭教師、宣教師、未亡人、セールスマン、メイド、医者、公爵夫人、車掌の13人。医師のアーバスノットは、死亡時刻を深夜の0時~2時だと断定。鉄道会社のブークに頼まれたポアロが捜査を始めると、乗客たちの証言からさまざまな事実が明らかになった。しかし、乗客全員にアリバイがあり、なかなか犯人像は浮上しない……。

ケネス・ブラナーによるポアロシリーズ第1弾。事件の容疑者となるオリエント急行の乗客役には、ジョニー・デップやミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジョシュ・ギャッド、デイジー・リドリーら豪華キャスト人集結した。
『ナイル殺人事件』(2022)
ナイル川を下る豪華客船。乗客の1人の遺体が発見される。その被害者は、新婚旅行で夫のサイモンと一緒に乗船し、美貌と巨万の富から人目を惹く存在のリネットだった。幸せを振りまく2人に、船内も祝福ムードに包まれていた矢先のことだった。

クルーズ船という“密室”で起きた事件の容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員。その中でも一番疑わしいのは、リネットの親友でありサイモンの元婚約者ジャクリーン。しかし、彼女には完全なアリバイがあった……。
エジプトを訪れていたポアロは偶然、この豪華客船に乗り合わせる。突如訪れた悲劇に、船内は混乱。解決に向けてポアロも捜査に乗り出すことに。しかし、被害者はリネットにとどまらず、ポアロは眼前で友人ブークを殺されてしまう。いつもはクールなポアロも怒りをあらわにしながら、船に潜む憎き犯人を追い詰める……。

シリーズ第2弾の本作は、豪華絢爛な映像美が愛憎入り混じる殺人事件の闇を際立たせた。ケネス・ブラナーがポアロ役を続投したほか、ガル・ガドット、アーミー・ハマー、アネット・ベニング、レティーシャ・ライト、エマ・マッキー、トム・ベイトマンなど、ハリウッドの実力派が揃った。
『オリエント急行殺人事件』と『ナイル殺人事件』は、ディズニープラスで視聴することができる。