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ベン・アフレック、Netflix映画は「エキサイティング」 ─ スピルバーグの報道受けて「業界は変化している」

ベン・アフレック
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/35813529230/

巨匠監督スティーブン・スピルバーグが、Netflix作品がアカデミー賞の有力候補となる現状を鑑みて、ノミネート条件の変更を提案する。この報道は世界中で議論を巻き起こし、とりわけハリウッドに大きな衝撃を与えた。いまや多くの俳優やフィルムメーカーが、Netflixによるオリジナル映画に出演しているのだ。2019年3月13日に配信される『トリプル・フロンティア』で主演を務めるベン・アフレックもその一人である。

ベン・アフレック、業界の変化に理解示す

米国のテレビ番組「TODAY」に共演者のチャーリー・ハナムと出演したアフレックは、スピルバーグの動きについて質問を投げかけられ、いたって冷静に答えている。

「彼(スピルバーグ)は、映画には劇場公開が絶対に必要だと考えているんだと思います。(Netflixのような)ひとつの会社についてではなく、“映画”とテレビの違いについて考えるため、(映画は)どれだけの期間は劇場で上映されるべきだ…という話ですよね。」

その一方で、アフレックは「(映画とテレビの)境目は曖昧になってきています」と述べている。アフレックは現在の状況を、過去に映画業界が経験してきたあらゆる変化の一環として捉えているようだ。

「みなさんがいろんな形で(映画を)観ているのはわかっています。携帯電話やインターネット、テレビなどでね。この業界は変化しているところなんです。これまでにも、映画業界にはいろんな変化がありました。モノクロからカラーになったし、(サイレントから)トーキーになったし、上映時間も長くなりました。テレビが映画を破壊する、とも言われましたね。だけど映画は生き残っているし、それはこれからも同じだと思います。みんな、これからどうなるのかをはっきりさせる仕事をしているんですよ。」

アフレックは俳優としてだけでなく、監督や脚本家、プロデューサーとしても活躍するクリエイターだ。複合的な目線を持ち合わせるがゆえだろうか、米AP通信の取材では、Netflix作品に携わることは「とてもエキサイティング」とも述べている。

「映画や配給の未来がどうなっていくのかがわかる感覚があります。すでに人々は、かつてないほど多くのプラットフォームで映画を観ている。そんな、いろんなものが混ざり合った変化の一部になっているという感覚です。どう見られるのかはわかりません。いろんな議論があって、みなさんにいろんな意見がありますから。だけど、Netflixの取り組みに加われるのは楽しいことですよ。なぜなら彼らは、物語を伝えることに多額の投資をしているし、いろんな作品を発表したがっている。そのことにはスリルや快感、興奮がありますね。」

ちなみにアフレックは『トリプル・フロンティア』の製作について、ひとりのフィルムメーカーとして、「他の場所で映画を作るのと、違いはまったくありませんでした」と語った。「(全員が)とにかく自分たちの仕事をしていたんです」。

スピルバーグ監督が今後、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーに何らかの働きかけをするのかどうかはわからない。しかしながら巨匠とNetflixをめぐる報道は、映画に携わる作り手たちの立場や思想を明らかにすることにもなりつつある。事態を複雑にしているのは、いまやNetflixが、やむなく劇場公開が見送られた、あるいは世界配給が難しい作品の受け皿となっていることだろう。そこでは、従来ならば世界の観客に届かなかった数多くの作品が日の目を見ている。第一線になかなか出られない監督や脚本家たちだけでなく、多くの俳優たちも自分たちの仕事が報われているのだ。

Netflixオリジナル映画『トリプル・フロンティア』は2019年3月13日に全世界独占配信。
配信ページ:https://www.netflix.com/title/80192187

スピルバーグとNetflixの関係、詳しくはこちらの記事で

Sources: TODAY, AP

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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