米大手映画館、2020年夏の映画シーズンに今なお期待 ─ 6月中旬の営業再開なるか

全米最大の映画館チェーン・AMCは、新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威をふるっている現状にあっても、まだ2020年夏の映画商戦に対する期待を捨てていない。会長兼CEOのアダム・アーロン氏が、米CNBCの経済番組「Squawk Alley」にて現在の希望を語った。
2020年3月17日(米国時間)、AMCは全米630館を最低6週間、最長12週間にわたって休業することを発表。その後、「収入源は絶たれたが、固定支出は残る」として、CEOや幹部を含む約27,000人の従業員に対し、やむをえず、減給および勤務時間の削減、無給休暇の取得を要請していた。
このたびアーロン氏は、改めて「(休業期間は)6~12週間と予想してきました。再開は5月1日から6月中旬までになると思いますし、それがふさわしいタイミングだと思います」との意向を示している。あくまで「どうなるかはわからない」としてはいるが、「夏とクリスマスは1年で最大の映画シーズン。夏の映画シーズンをぜひ再び楽しんでほしいと考えています」と述べているのだ。
もっともハリウッドの大手スタジオは、夏に米国公開予定だった作品を相次いで延期している。ワーナー・ブラザースは、6月公開予定だった『ワンダーウーマン 1984』『イン・ザ・ハイツ』などを無期延期。ソニー・ピクチャーズは『ゴーストバスターズ/アフターライフ』『モービウス』そして『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』を2021年まで繰り下げた。ユニバーサル・ピクチャーズも、現状を受けての製作の遅れから、『ミニオンズ フィーバー』の公開を1年延期することを決定済み。映画館が営業再開された場合も、例年通り新作映画が充実することは期待できないのが実情だ。
ただしアーロン氏は、そんな現状でも映画館を再オープンすることには希望を抱いている。「この2週間ほど、人々が家から外に出たがっているのを感じています。今は誰もが閉じ込められているような状態で、誰もが外に出たがっている、日常を取り戻したがっていると思うのです」。すなわち、映画館を“日常”が営まれる場所として再開したいということなのだ。むろん、その一方で「それは明日明後日、来週再来週に叶うことではない」とも。少なくともアメリカの大手企業は、現在の状況は数ヶ月間続くという認識を固めているわけである。
新型コロナウイルスの猛威に対して、アーロン氏は「今は国としてウイルスに立ち向かわなければなりません」「AMCも危機に立ち向かうことに集中したい」と語った。「いつ元通りになるかは分かりませんが、アメリカでは今、共同体意識が高まっていますよね。危機に際して、この国はいつでも自発的に一丸となってきました」。
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