「キャシアン・アンドー」のドロイドB2EMOはいかに誕生したか ─ ヨーダやC-3POとの興味深い共通点

ヨーダ、C-3POとの共通点
こうして完成したB2は、これまで『スター・ウォーズ』続三部作のBB-8や、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)のレディ・プロキシマを担当してきたデイヴ・チャップマンによって操演されることとなった。声については後から声優をキャスティングしてアフレコを行う予定であったため、ギルロイは撮影時にB2のセリフをどうするか悩んだそう。だが、チャップマンが操演しながらセリフも発してくれたため、効率的に撮影を進められたという。
声優選びの際のエピソードについて、ギルロイは米Colliderとのインタビューで詳しく述べている。
「声優を大勢集めて、B2役のオーディションを行いました。ですが、ある日(弟で共同プロデューサー兼編集者の)ジョニー(・ギルロイ)が電話してきてこう言ったんです。“今の声よりいい人は1人もいないね。それどころか気づいてないかもしれないけど、B2にアフレコが必要なシーンは全くないんだ。つまり追加録音が必要な、B2が画面に映らずにセリフを言うシーンはないし、気に入らないから変えたい訳でもないし”と。それでキャシー(キャスリーン・ケネディ)に電話して承認されたのです。」
なんとオーディションまで開催していながら、事前の計画を変更して操演者であったデイヴ・チャップマンの声が採用されたというのだ。ギルロイは、「彼(チャップマン)は操演者です。彼も数多く操演をしてきましたが、通常声は差し替えられるので、今回も当然そうなると思っていたでしょう」と語る。

この経緯は『スター・ウォーズ』の“元祖ドロイド”とも言うべきC-3POに関する逸話と重なってくる。C-3POも当初、撮影時に俳優のアンソニー・ダニエルズがセリフを発していたものの、後から別の声優を立ててアフレコが行われる予定であった。実際にオーディションも行われたという。しかし、C-3POのイメージにぴったり合う人は見つからず、結局アンソニーの英国執事風の声が一番だという結論にたどり着いたのだった。
他、ヨーダ役を演じてきたフランク・オズも、CGに置き換えられた新3部作(『エピソード1/ファントム・メナス』(1999)については劇場版のみ人形)以外では操演と声の両方を担当している。やはり、キャラクターの心を理解することで、自然な立ち振る舞いや声が演じられるのだろう。こうした根底での発想の共通性が、「キャシアン・アンドー」が異色ながらも、『スター・ウォーズ』らしい作品であることにつながったのかもしれない。
さて、シーズンフィナーレでB2はキャシアンとは別の道を行くこととなった。ギルロイが米Colliderとの別のインタビューにおいて、シーズン1と2の間にメインキャラクターは誰も死なないと公言しているので、次シーズンでもB2を始めとして、ビックスやブラッソらフェリックス組の姿もまた見ることができるだろう。
しかし、時系列で同時期となるアニメ「スター・ウォーズ 反乱者たち」(2014-2018)を振り返ると、反乱軍全体の戦略が優先され、なかなか故郷ロザルを助けることができないエズラ・ブリッジャーの姿が思い起こされる。反乱軍に忠誠を誓ったキャシアンにも、そういった葛藤が生まれるかもしれない。
次シーズンでは満を持して、『ローグ・ワン』で活躍した皮肉屋な人気者K-2SOも登場予定だ。「キャシアン・アンドー」のこれからに期待したい。
「キャシアン・アンドー」シーズン1はディズニープラスにて配信中。
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Source:Collider[1,2,3],Star Wars.com