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【ネタバレ】『アクアマン』ポストクレジットシーン解説 ─ 思わぬイースターエッグも判明

アクアマン
© 2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. TM & © DC Comics

いまやスーパーヒーロー映画において、ポストクレジットシーンはなくてはならないものとなっている。DCコミックス&ワーナー・ブラザース製作、映画『アクアマン』もその例外ではなく、エンドロールの後には“お楽しみ”が待ち構えていた。本作のポストクレジットシーンにはどんな意味があり、どんな小ネタが隠されているのか? 本記事ではささやかながら、その内容について解説を加えてみたい。

この記事には、映画『アクアマン』のネタバレが含まれています。

アクアマン
(C) 2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved “TM & cDC Comics”

その後のブラックマンタ、スティーブン・シン博士

『アクアマン』のポストクレジットシーンで描かれるのは、映画中盤の地上戦でアーサー・カリー/アクアマンを相手に大敗を喫したデイビッド・ケイン/ブラックマンタの“その後”だ。冒頭シーンでデヴィッド親子がもくろんだ悪事はアクアマンにあっさりと阻止され、指揮を執っていたデヴィッドの父親はアクアマンに見殺しにされ命を落とす。デヴィッドは形見の剣を使ってアクアマンへの復讐を試みるも、ブラックマンタのアーマーをもってなおアクアマンには勝てなかった。

デイビッド/ブラックマンタが目覚めたのは、アトランティスの存在を公に主張して世間の嘲笑を買っていた海洋学者スティーブン・シン博士のボートだった。アクアマンへの復讐を諦めていないブラックマンタと、アトランティスへの執念を絶やさないシン博士の合流によって、物語はさらなる展開を示唆したまま幕を閉じる。メイン・ヴィランではなかったブラックマンタは、続編で再びアクアマンの前に立ちはだかることとなりそうだ。

これまでコミックの世界では、アクアマンとブラックマンタにはさまざまなエピソードが描かれてきた。なかでも有名な設定は、もともとアクアマンとブラックマンタは戦いのなかで互いの両親を失ってしまうというものだ。映画版ではアクアマンがブラックマンタの父親を見殺しにするというストーリーになっており、一方的にブラックマンタが恨みを抱いて行動するさまが描かれた。ジェームズ・ワン監督は、アクアマンとブラックマンタの関係をこのように説明している。

「ブラックマンタになる以前の(デイビッドとしての)姿を、どのように彼がブラックマンタになっていくのかを見せたかったんです。皮肉なのは、アーサー/アクアマン自身がこの人物を生み出すのに加担していること。長きにわたって宿敵となるキャラクターを彼自身が作っているんです。」

ブラックマンタと協力関係を結ぶことになるであろうシン博士は、コミックではアーサーの父親トム・カリーの友人で、アーサー自身の成長にも関わるという設定だ。しかし映画版ではアーサー一家との関係が割愛されており、あくまでアトランティスへの強い思いを抱いている海洋学者という設定に変更されている。演じていたのは、マーベル映画『アントマン&ワスプ』(2018)ジミー・ウー刑事役のランドール・パーク。マーベル/DC映画の境界を、きわめて短い期間で飛び越えた俳優のひとりとなった。

現在、『アクアマン』は続編映画とスピンオフ映画の企画が進行中だ。さて、次にブラックマンタが登場するのはいつになるだろうか? ブラックマンタ役のヤーヤ・アブドゥル・マティーン2世は「アクアマンのいるところならば、どこにでも」と話している。

「ブラックマンタには、アクアマンのいるところならばどこへでも戻ろうという意志や計画がありますから。どこにでも現れることができますよ。その時には、もっと知性的で、笑える一面も見せられたらいいなと思いますね。僕の知っているブラックマンタらしさや、ファンのみなさんに長年愛されてきた人間らしい部分を。」

新聞に記された「フラッシュポイント」とのリンク

このポストクレジットシーンには、製作段階で仕込まれた小ネタ(イースターエッグ)が存在することも判明している。『アクアマン』の試写に携わったというニール・デイリー氏は、ポッドキャスト「Fire & Water」にて、舞台裏のエピソードを明かしていた。ヒントとなるのは、シン博士のボートに貼られている新聞のうちの一枚だ。

「新聞の一枚に、“ワンダーウーマン、アクアマンとのデートの噂を否定”という見出しが書かれていました。冗談半分でしたが、面白かったですね。撮影していた当時は、まだ『ザ・フラッシュ』(単独映画)のストーリーを『フラッシュポイント』で進めるという話があったんですよ。だからアクアマンとワンダーウーマンのデートに言及していたんですね。」

『ジャスティス・リーグ』(2017)以降、ワーナー・ブラザースはフラッシュの単独映画『ザ・フラッシュ(仮題)』を、一時『フラッシュポイント』と改題。コミックにおける同名の有名ストーリーを映画化することが計画されていたといわれている。
コミック「フラッシュポイント」では、ワンダーウーマンとアクアマンが恋愛関係にあるという展開が描かれており、それこそがのちに悲劇へと繋がっていった。撮影当時、『アクアマン』の製作スタッフは遊び心から「フラッシュポイント」とのリンクを仕込んだとみられる。

しかしながら『ザ・フラッシュ』の単独映画は紆余曲折を経て、現在は正統な単独のストーリーとして構想されている模様。『アクアマン』の製作現場に残された遊び心は、今後の展開を示唆するものではなくなったというわけだ。

映画『アクアマン』は2019年2月8日(金)より全国の映画館にて公開中

『アクアマン』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/aquaman/

Sources: ComicBook.com(1, 2), SR, F&W

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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