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『アベンジャーズ』全4作、中国で一挙再上映へ ─ 業界復活の大役担う、『アバター』『インセプション』『インターステラー』も登場

アベンジャーズ/エンドゲーム
© 2019 MARVEL

マーベル・シネマティック・ユニバースを代表する『アベンジャーズ』シリーズの全4作品が、新型コロナウイルス(COVID-19)の脅威を脱しつつある中国の映画館にて再上映されることがわかった。

The Hollywood Reporterによると、再上映されるのは『アベンジャーズ』(2012)と『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)。再上映の開始日は正式に告知されておらず、関係者の証言では「基本的にDCP(デジタルシネマパッケージ)が届きしだい」とのこと。しかし、中国現地のアナリストであるギャヴィン・フェン氏は、4作品の再上映開始は2020年3月26日(現地時間)だとしている。

また報道によると、中国では『アベンジャーズ』4作品のほか、『アバター』(2009)や、クリストファー・ノーラン監督作品『インセプション』(2010)『インターステラー』(2014)も再上映されるとのこと。いずれも中国では、劇場公開時に優れた成績を収めた作品ばかりだ。

中国では3月25日に、最も多くの感染者を出した武漢を含む湖北省でも封鎖が解除され、推定6,000万人に移動許可が出された。新型ウイルスの感染爆発以来、中国では商業施設の休業が続いていたが、過去数週間、ゆるやかにショッピングモールやレストランの営業も再開され始めている。25日午後の時点では、推定600~700の映画館が再オープン。ただし再開が叶ったのは、主に2月の感染ピーク時に比較的影響が少なかった地域で、営業している劇場も多くが少人数・少スクリーンでの再開となった。中国全土に広がる大手映画館チェーンの営業再開は未定で、ギャヴィン氏は、多くの映画館は4月後半~5月まで再開されないとみている。

The Hollywood Reporterは、すでに営業を再開している映画館には2つの課題があると指摘する。ひとつは、もう映画館は安全だと消費者に訴えかけること。もうひとつは企業側に、注目作や話題作を公開して差し支えないほど、劇場に観客が戻ってきているとアピールすることだ。そのために劇場側は、過去の人気作品を積極的に上映することになる。『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017)や『流転の地球』(2019)『神なるオオカミ』(2015)といった国内旧作映画をはじめ、今後は『1917 命をかけた伝令』や『ドクター・ドリトル』『フォードvsフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』なども公開される見込み。さらに『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)の4Kレストア版も3D上映されるのだ。

中国の映画業界は、例年映画館が盛況となる5月上旬に向けての“復活”を目指しているとみられる。そんな中、大勢の観客を劇場に呼び戻す秘策として、重大なカギを握っているのが『ハリポタ』と『アベンジャーズ』などの作品というわけだ。また中国では、国営映画会社「中国電影集団」をはじめ、プロデューサー&配給会社が、旧作のチケット収入をすべて映画館の利益とすることに同意する動きも出てきた。国内の映画文化の未来を見据え、業界が一丸となって劇場の復活に協力する態勢にあるということだろう。

かたやアメリカでは、今まさに多くの映画館が休業に入っており、ヨーロッパ諸国でも同じ対策が講じられている。日本国内も新型コロナウイルスをめぐる状況はまったく予断を許さず、映画業界についても、すでに多くの作品が公開延期となった。おそらく映画業界の“復活”に関しては、今度は中国がモデルケースとなるはずだ。……しかしそれでも今はまだ、事態の悪化を防ぐため、各自が最善を尽くすことが求められる時期である。

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Source: The Hollywood Reporter, Gavin Feng

Writer

アバター画像
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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