ゲーム版『アベンジャーズ』はチームの解体、ヒーローの脆さを描く ─ 『シビル・ウォー』『エンドゲーム』などMCU映画への「回答」なるか

PS4/Xbox One/PC/Stadia対応ソフト『Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)』は、マーベル・シネマティック・ユニバースにある意味での真っ向勝負を挑む作品となりそうだ。「#リアッセンブル(再集結)」というキーワードからも想像されるように、本作はアベンジャーズというチームの解体、そしてスーパーヒーローの脆さを描くストーリーになっているという。
開発を担当したCrystal Dynamicsのクリエイティブ・ディレクター、ショーン・エスケイグ氏は、米VentureBeatの取材にて「映画の魅力はヒーローの“ヒーローではない姿”を描いたことですが、それは同じなのでしょうか?」と問われると、本作も「ヒーローの人間らしさを扱う」ものだと強調した。
「ヒーローたちは自分たちの罪悪感、喪失感にどう向き合うのか。それぞれの違いを脇に置いておくことができるのか。たとえばブルース・バナーは私の大好きなキャラクターですが、それはいつでも彼が自分自身との間で葛藤しているからです。科学者で、とても賢く、あるところでは非常におとなしいのに、突然怒りに自分を乗っ取られて、自分の手で何もかも壊してしまう。彼は危険なのか、本当にヒーローなのか。人生をかけてその問題と戦うんです。」
またショーン氏は、トニー・スターク/アイアンマンが世界を救えるだけの知性と技術力を有していながら、自分本位な性質のキャラクターであることにも言及。「トニーは、ほかのヒーローなら選ばない賭けに出る男です。それゆえに葛藤が生じるんですよ」。
『Marvel’s Avengers』の物語は、アベンジャーズがある種の“頂点”に達したところから物語が幕を開ける。アベンジャーズの基地がアメリカ西海岸にも完成し、ヒーローは活動範囲を拡大。ショーン氏いわく、アベンジャーズはS.H.I.E.L.D.とも合併しており、プレイヤーは「絶好調の状態」を見ることになるという。しかしタスクマスターらヴィランの暗躍によって、街は危険にさらされる。アベンジャーズはリーダーを失い、ヒーローたちは罪の意識にさいなまれるのだ。
ショーン氏は本作のストーリーを「アベンジャーズがリ・アッセンブルする物語であり、最後まで戦い抜けるかどうかの物語」だと説明する。劇中では絶頂期から5年後まで時間が飛ぶが、ゲームデザイナーのヴィンス・ナポリ氏は、キャラクターの変化も見どころだと語った。
「ストーリーで特に気に入っているのは、アイアンマンがどういう状態にあり、どこへ進んでいくのか。(ゲームでは)より脆い状態の彼らを描くことになりますが、みなさんにご覧いただくのはそれだけではありません。それこそがストーリーが分岐することの良さですよ。5年後の彼らはゲームの冒頭とはまったく違って、それが新しい印象になる。コスチュームや美しさだけでなく、性格やゲームプレイの空間も違ってくるんです。」
ヒーローの分裂や再結集といった、ここで語られているテーマは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)から『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)まで時間をかけてじっくりと描いてきたもの。製作チームがMCUの展開をどこまで意識したかは定かでないが、同じテーマ/近いテーマをいかに再解釈するのか、いわば“ゲーム側からの回答”が繰り出されることになりそうだ。
いささか興味深いのは、本作ではそれぞれのヒーローをプレイすることで、プレイヤー自らがシリアスなストーリーを掘り下げていくことである。ゲームならではのストーリーテリングでテーマの本質にどう迫るのか、その仕上がりに期待したい。
ゲーム『Marvel’s Avengers(アベンジャーズ)』は2020年5月15日(金)発売予定。
公式サイト:https://avengers.square-enix-games.com/ja-jp/
Source: Venture Beat