血と暴力の寓話『バクラウ 地図から消された村』予告編、カンヌ審査員賞受賞の怪作

『パラサイト 半地下の家族』(2019)がパルムドールを受賞した第72回カンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いた、怪作『バクラウ 地図から消された村』の日本版アートワークと予告映像が公開された。

村の長老である老婆・カルメリータの死をきっかけに、主人公のテレサは故郷の村バクラウに戻ってきた。しかし、その日から村では不可解な出来事が起こり始める。インターネットの地図上からは村の存在が消え、上空に正体不明の飛行物体が現れた。ライフラインである給水車のタンクには何者かが銃を撃ち込み、村人が血まみれの死体で発見される。めったに現れないはずの他所者の来訪、それは血で血を洗う暴力と惨劇の幕開けだった……。
公開された日本版アートワークには、頭上を飛び交う謎の飛行物体や、緊張した面持ちで銃器を手にする人々などの不穏な風景が描かれた。また予告編では、本編でも使用されているジョン・カーペンターのトラック「NIGHT」が、不可解な出来事とバイオレンスの緊張感を一層昂ぶらせる。
ブラジルの片田舎の村・バクラウで起こる不可解な出来事と暴力の災禍。貧困、格差、そして政治によって主導される分断。前作『アクエリアス』(2016)がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された俊英、クレベール・メンドンサ・フィリオ監督は、暴力に彩られた寓話的世界で現代社会に警鐘を鳴らす。本作はカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞、シッチェス・カタロニア国際映画祭で監督賞など3冠を獲得。各国の映画祭・映画賞を席巻し、仏カイエ・デュ・シネマの2019年ベスト10に選出、外国映画としては『パラサイト』に次ぐ第4位にランクインした。
出演者は、フィリオ監督の前作『アクエリアス』から、映画史に燦然と輝く名作『蜘蛛女のキス』(1985)の名優ソニア・ブラガ、ブラジルを代表する若手女優バルバラ・コーレンが再タッグ。『奇跡の海』(1996)『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)などラース・フォン・トリアー作品の常連者ウド・キアなど、国際色豊かな出演陣も登場する。
映画『バクラウ 地図から消された村』は2020年11月28日(土)、シアター・イメージフォーラムにて公開。