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『パイレーツ・オブ・カリビアン』ゴア・ヴァービンスキー監督、中止となった名作FPS『バイオショック』映画化の真相について語る

ハリウッド版『リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『ランゴ』などで知られる、ゴア・ヴァービンスキー監督が彼の最新作である『A Cure For Wellness(国内公開未定)』のプロモーションを兼ねて、2月14日海外のソーシャルコミュニティサイトRedditにてユーザーからのQ&Aセッションを行った。その中でも、話題を呼んだのがあるユーザーからの以下の質問だった。

こんにちは!ゴア!

どこまでが守秘事項なのかわからないのですが、あなたによる『バイオショック』の映画化に何が起こったのでしょうか?更に重要な事ですが、あなただったらリトルシスターの搾取と救済、どちらを選びますか?

『バイオショック』とは?

『バイオショック』は2007年に現Irrational Gamesによって開発、テイクツー・インタラクティブにより販売されたFPS形式のアドベンチャ―/ロールプレイングゲームだ。舞台となるのは我々の世界と異なる歴史を歩んだ1960年代。プレイヤーとなる主人公ジャックは飛行機事故をきっかけに、かつては繫栄しながらも今は荒廃した海底都市「ラプチャー」へと到達し、自らの生き残りをかけた冒険へと挑むことになる。

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http://cdn.edgecast.steamstatic.com/steam/apps/7670/0000002517.1920×1080.jpg?t=1474048228 (C) 2007 2K

銃器や鈍器以外にも、超能力を駆使するユニークなゲームシステム、狂気に支配された印象深い登場人物たち、打ち捨てられたラプチャーを強調する音楽、美しさと恐怖さを兼ね備えたグラフィックデザイン、そして謎が徐々に解き明かされる驚愕のストーリーから、発売から大きな評判を呼び、現在もFPSジャンルの傑作の一つとして挙げられることも多い作品であり、2016年にはシリーズ作である『2』『インフィニット』をまとめたHDリマスターコレクションが発売されたばかりである。

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https://www.2k.com/games/bioshock-the-collection?_escaped_fragment_=type%3D4%26reference%3D975%26item%3Dhttps%3A%2F%2Fapi.2k.com%2Fimages%2F1623 (C) 2016 2K

叶わなかった映画化の真相とは

そんな『バイオショック』の映画化が報じられたのは2008年、監督はゴア・ヴァービンスキー氏、制作はユニバーサル・スタジオと発表された。しかしその後情報の公開はされず、2013年に関係者によってプロジェクトがキャンセルとなったことが報じられた。

しかし、未だ『バイオショック』の実写映画化を望む声は未だ多く(含む筆者)、今回の質問は正に多くの人々(含む筆者)が望んだものであった。そして監督は以下の通りに答えた。

その質問には短く答えることが出来ないな、けれども私たちは撮影8週間前の時期に”プラグ”が引き抜かれてしまったんだ。『バイオショック』はR指定映画で、私もR指定のままにしておきたかったんだ。それが最適だと私は感じたからね。
同時に『バイオショック』は高価な映画だったよ。私たちは広大な世界を作っていて、それはおいそれとロケに行って撮影できるものではなかった。『A Cure For Wellness』では世界の構築に様々な場所がロケ撮影に利用できたけれども、『バイオショック』は同じようにはいかない。私たちは海面下の世界を全て築き上げる必要があったからね。
だから私が思うにユニバーサルは製作費と年齢制限の問題を合わせて納得がいかなかったのだろう。同時期に同様のR指定かつ高製作費の映画が失敗した例もあるからね。

ここで言及された失敗例とは『ウォッチメン』であろう。2013年の制作中止報道においても『ウォッチメン』の興行的失敗が言及されている。Box Office Mojoによると、『ウォッチメン』は130万ドルの製作費に対し米国内107万ドル、全世界で185万ドルの興行収入を得た。この数字は確かにハリウッドの映画ビジネスとしては厳しい数字だ。

そして監督はこう続けた。

私が思うに物事はいろいろ変わったし、もしかしたらまたチャンスがあるかもしれない。けれども、それはとても難しいだろう。映画撮影の8週間前という時期は、頭の中に(映画の撮影を)本当に見ることができるし、殆どすべてを撮影したも同然で、感情的には建築士から建築請負人になる過度期に位置しているわけで、そこは戻るにはとても難しい時期なんだ。

ゴア・ヴァービンスキー監督の映画哲学も垣間見ることの出来るこのコメントではあるが、2つ残念なことがある。1つは彼による『バイオショック』の実現はとても難しいものとなってしまったこと、そしてもう一つは監督であればリトルシスターを”搾取”するのか、もしくは”救済”するのかわからないという事だ。後者についての解答は恐らく彼が考えていた映画の中にのみ存在し、残念ながら我々が知る機会は失われてしまったのだろう。

Sources:https://www.reddit.com/r/movies/comments/5u2frh/im_gore_verbinski_director_of_the_ring_pirates_of/,http://www.eurogamer.net/articles/2013-03-12-ken-levine-personally-killed-off-the-bioshock-film-heres-why,http://www.boxofficemojo.com/movies/?id=watchmen.htm

Eyecatch Image: https://www.2k.com/games/bioshock-the-collection?_escaped_fragment_=type%3D4%26reference%3D975%26item%3Dhttps%3A%2F%2Fapi.2k.com%2Fimages%2F1622 (C) 2016 2K 

Writer

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Ninsei Chiba

サイバーパンクの世界に生まれたい人生でした。洋ゲーやシンセ音楽を燃料に生きています。

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