「ブラックリスト」ここが見どころ、最大の謎に迫るシーズン7を予習せよ ─ アクション・サスペンス・家族劇の融合

2013年に放送開始されてから現在まで、変わらず熱い人気を誇るサスペンス・アクションドラマ「ブラックリスト」が新たな局面を迎える。2020年4月28日(火)より海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」で独占日本初放送となるシーズン7は、これまで以上に濃密なストーリーが展開される待望の最新シーズン。本記事では放送開始に先がけて、まだ観たことがない人、途中まで観ていたという人のために、シリーズのツボを押さえていきたい。
この記事には、「ブラックリスト」シーズン6までのネタバレが含まれています。

「ブラックリスト」謎が謎を呼ぶサスペンス
FBIやCIAさえ認識していない、数多の凶悪犯罪者たちの情報が網羅されているリスト、通称・ブラックリストが存在するとしたら。そして、そのリストを自在に操れる男がいたら……。物語は「犯罪コンシェルジュ」と呼ばれる国際的な指名手配犯、レッドことレイモンド・レディントンがFBIに突如出頭するところから始まる。レッドは、ブラックリストの犯罪者、通称“ブラックリスター” の情報を提供して捜査に協力すると申し出るのだ。唯一の条件は、レッドのパートナーに、まだ新人捜査官であるエリザベス・キーンを起用すること。なぜ、レッドはエリザベスを選んだのか。その理由は、彼女の過去に隠されていた。
シリーズの見どころは、各エピソードがブラックリストの犯罪者たちとの攻防戦を描く物語になっていながら、少しずつ「レッドは何者なのか」「エリザベスとレッドにはどんな関係があるのか」という謎が紐解かれていくところだ。もちろん、すでに6シーズンを終えている本シリーズは、この構造を少しずつ変化させてきたわけだが、レッドとエリザベスを軸に、個性豊かなキャラクターが入り乱れる群像劇的な仕掛けは一貫。広がり続ける世界観、複雑で考察しがいのある人間関係こそが物語のキモといっていいだろう。

たとえば、もともと幸せな夫婦だったはずのエリザベスと夫のトム・キーンだが、シーズン1の結末では、トムがレッドに雇われた潜入工作員だったことが明らかになる。さらにエリザベスは、世界各国の政府に「結社」と呼ばれる謎の組織が入り込んでいることを知ってしまい、レッドとともに命を狙われることにもなるのだ。その結果、エリザベスはアメリカの司法長官を殺害。その時、エリザベスには、幼い頃の自分が母を守るために父親を撃ったという記憶が甦るのだった。
この“父親”というキーワードがくせものである。なにしろ最大の謎は、「レッドはエリザベスの父親なのか」ということだからだ。エリザベスに執着し、窮地を救うレッドの姿は父親そのものだが、エリザベスはレッドへの疑念を拭い去れない。ついにはトムとの子どもを出産する際、死亡したと偽ってレッドのもとから姿を消すのだ。しかしその後、エリザベスとレッドが血の繋がった実の親子であることが判明し、一時は親子として穏やかな関係を手にすることもある。
もっとも、事態はただでは収まらなかった。レッドの右腕で、エリザベスも信頼を寄せるミスター・キャプランが隠したスーツケースには、謎の人骨が入っていたのだ。骨の正体を暴くため、トムは単身で捜査を始め、ついには、その人物こそが本物のレッドであることを突き止める。しかし、それならばレッドとして振る舞う男は何者なのか。調査の末、エリザベスは祖父のドムから、その素性が母カタリーナ・ロストヴァの幼なじみであるイリヤ・コズロフだと聞かされる。本物のレッドは、幼い頃にエリザベスが撃った父親だったというのだ……。

シーズン7、ここが見どころ
これまで6シーズン、全133エピソード。長い時間を費やし、ひねりにひねりを重ねてきた「ブラックリスト」のストーリーを手短にまとめ上げるのは困難、もとい、ほぼ不可能である。今回はレッドとエリザベスに絞って振り返ったが、それでも大部分を割愛せざるを得なかったことを白状しておこう。しかし逆に言えば、レッドとエリザベスがどのような関係性かを押さえておけば、ここからでもまだ間に合う、ということだ。たとえシリーズの途中で観るのを一度やめてしまったという方でも、きっと復帰できるだろう。
「ブラックリスト」シーズン7は、レッドの正体は何者なのか、そしてエリザベスのアイデンティティとは、というポイントにより肉薄していく。長らく生死不明として扱われていた、エリザベスの母親カタリーナ・ロストヴァが満を持して登場するのだ。レッドはパリの地でカタリーナと再会するが、その直後、彼はカタリーナに拉致され、目覚めた時には病院のベッドで拘束されている……。まずは3人に注目して物語を追いかけつつ、過去シーズンをつまみ食いするという楽しみ方もアリではないか。

『羊たちの沈黙』のレクター博士とクラリスを彷彿とさせる物語の導入から、ブラックリスターを相手に繰り広げられる心理サスペンス。転じて、レッドとエリザベスというキャラクターに眠るミステリー。映像的にも刺激的で、観る者を飽きさせない大スケールのアクション。一方で、FBIや“チームレッド”のメンバーが織りなす群像劇には、いわゆる“お仕事モノ”ドラマの味わいも色濃い。そしてレッドとエリザベスの関係性には、家族劇のような温かみやユーモアも見てとれる。最初は謎めいた人物だったレッドが、シリーズが進むたび、いわゆる厄介な父親としての表情を色濃くしていくのもひとつの楽しみどころだ。
主人公のレッドを演じるのは、『セックスと嘘とビデオテープ』のジェームズ・スペイダー。過去にエミー賞の主演男優賞に3度輝いた実力の持ち主で、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のウルトロン役としても知られる。エリザベス役は、本シリーズでキャリアを躍進させたメーガン・ブーン。図らずも「ブラックリスト」には、メーガンの女優としての成長を記録するドキュメンタリー的な性質もある。シーズン7からは、母カタリーナ役で『トゥルー・クライム』『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』のライラ・ロビンズ、物語のカギを握る謎の男役で『ジョーカー』のトーマス・ウェイン役も記憶に新しいブレット・カレンが登場。確かな演技で、物語にさらなる厚みをもたらしてくれる。

なお過去シーズンには、『ブラック・クランズマン』のライアン・エッゴールドをはじめ、ブラックリスター役として、『アルマゲドン』『ジョン・ウィック:チャプター2』など多数の映画に出演するピーター・ストーメア、『X-MEN』初期3部作のジーン・グレイ役であるファムケ・ヤンセン、『ヘルボーイ』シリーズや『パシフィック・リム』のロン・パールマン、そして「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」のクリステン・リッターといった顔ぶれが出演してきた。豊富なゲスト出演者が彩ってきたエピソードの数々も、ぜひあわせてチェックしてみては。
ドラマ「ブラックリスト」シーズン7は、2020年4月28日(火)22:00より、海外ドラマ専門チャンネル「スーパー!ドラマTV」にて独占日本初放送。