『ブレードランナー』デッカードは人間か、レプリカントか ─ ハリソン・フォードが新証言「私はずっと知っていた」

『ブレードランナー』(1982)の主人公リック・デッカードは人間か、それともレプリカントか?演じたハリソン・フォードが、新たに自身の見解を語っている。
リドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔『ブレードランナー』で、デッカードはレプリカントだったのかという議論は、永遠のミステリーとして観客に解釈が委ねられている。映画ではレプリカントと呼ばれる人造人間と、その本来の目的から逸脱して人間社会に紛れ込んだ個体を追う人間の警察捜査官「ブレードランナー」を描いており、哲学的なSF物語となっている。フォードが演じたデッカードは人間の捜査官として登場するが、劇中では彼がレプリカントであることを示唆するような描写があり、その真相は曖昧なものとされている。

フィリップ・K・ディックの小説に基づく本作について、スコット監督は「デッカードはレプリカントである」と考えている一方、フォードは「彼は人間だ」と主張してきた。2017年に登場した続編『ブレードランナー 2049』の時でさえ、スコットとハリソンはまだこの異なる見解をぶつけ合っていたという。
フォードは米Esquireのインタビュー企画で、この永遠の議題について新たな意見を述べている。様々なお題に答える中で、彼は“リドリー・スコットは、デッカードは間違いなくレプリカントだと断言している”という話題に至ると、「しかし私は、あまり確信がない」と回答し、次のように答えた。
「私は、ずっと彼がレプリカントだと知っていました。ただ、それに抗いたい思いもあった。レプリカントは自分自身を人間だと信じたいもの。少なくとも、彼はそうでした。」
この回答は、フォードとスコットの議論に一定の決着をもたらすものとも受け取れる。つまり、現在のフォードは、デッカードがレプリカントであるという設定を、認めざるを得ない立場にいるのだ。かつて「人間だ」と主張していたのは、自身が演じたデッカードにある種の同情を抱き、彼の尊厳を守るために、その事実を受け入れたくないとする反抗心によるものだったのかもしれない。
フォードの回答は「少なくともデッカードは自分が人間だと信じたい」というものだったが、この真相は今後も曖昧にしておく方がロマンがある。シュレーディンガーの猫のように、デッカードはレプリカントだとも、人間だとも断言されないままでいる限り、このキャラクターは意図的に不完全な存在でありつづけ、観客の解釈が加わることで完全な存在となり得る。それによって『ブレードランナー』は、何年にもわたって観客ひとりひとりとの関わりを持ち続ける、特別な作品となり得ていたのだろう。
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Source:Esquire