DC『ブルービートル』は「子ども向けクローネンバーグ映画」─ スーパーパワーを欲しがっていない初のヒーロー?

ほどなくして全米公開(2023年8月18日)を迎えるDC映画『ブルービートル(原題:Blue Beetle)』は、『ザ・フライ』(1986)『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014)などで知られる鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督からの影響が見られるようだ。監督を務めたアンヘル・マヌエル・ソトが「子ども向けクローネンバーグ作品を作りたかった」と米Variety向けのインタビューにて明かしている。
DCユニバース初となるラテン系スーパーヒーローの単独映画となる『ブルービートル』。大学を卒業した主人公のハイメ・レイエスはひょんなことから、宇宙のバイオ技術を宿した古代の遺物「スカラベ」を手にしてしまう。スカラベの宿主として選ばれたハイメは、予測不能なスーパーパワーを持つスーツを授かり、“ブルービートル”となる。
ソトは『ブルービートル』を製作にするにあたって『ミッション:インポッシブル』や『インディ・ジョーンズ』といった人気シリーズからも確実に影響を受けながらも、そのノスタルジックなエネルギーを「スーパーパワーを欲しがっていない初めてのスーパーヒーロー」を描くのに活かしたと語っている。また、「どうやったら子ども向けクローネンバーグ作品ができるだろう?そのエネルギーを面白いものにしたいけど、私を映画好きにした映画についてのストーリーを伝えたかったのです」と、クローネンバーグからの影響についても言及している。
クローネンバーグと言えば、肉体の破壊や変容による恐怖をテーマとする「ボディ・ホラー」の名手。科学者とハエが遺伝子融合するSFスリラーの傑作『ザ・フライ』を初め、数々の作品で肉体が普通ではなくなる恐怖を描いてきた。日本でも間もなく公開となる『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』はカンヌ国際映画祭で退場者が続出するなど賛否を巻き起こしている。
『ブルービートル』の米国版予告編映像も明るく陽気な音楽をバックに、ハイメがスカラベに取りつかれるホラーなタッチが印象的なコントラストを生んでいる。スーパーヒーローが悪と闘うのはもちろんのこと、未来やテクノロジーに対する好奇心や恐怖を刺激してくれることにも期待しよう。
ブルービートル/ハイメ・レイエス役は、「コブラ会」(2018-)ミゲル役のショロ・マリデュエナ。主要キャストをラテン系の俳優陣が固めており、祖母・ナナ役を『ランボー ラスト・ブラッド』(2019)アドリアナ・バラッザ、父・アルベルト役を「ナルコス」ダミアン・アルカザール、母・ロシオ役を『プレデター』シリーズのエルピディア・カリロ、妹・ミラグロ役を『ホーカスポーカス2』(2022)ベリッサ・エスコベード、ハイエが恋するジェニー役を「マルジヴァスの秘密」(2022)ブルーナ・マルケジーニ、そして叔父・ルディ役を人気コメディアンのジョージ・ロペスが演じる。
DC映画『ブルービートル(原題:Blue Beetle)』は2023年8月18日より全米公開。日本公開日は未定。
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Source:Variety