ブラムハウス、ジェームズ・ワンの製作会社と合併交渉中 ─ ホラーの2大巨頭が融合、2023年春にも契約締結

『パラノーマル・アクティビティ』『インシディアス』シリーズなどで知られる、ジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションズと、『死霊館』ユニバースを手がけるジェームズ・ワンの製作会社アトミック・モンスターが合併に向けて交渉中であることがわかった。米The New York Timesなどが報じている。
ジェイソン・ブラムとジェームズ・ワンといえば、2000年代以降のホラー映画を牽引してきた2大キーパーソン。ブラムハウスは近年『ハロウィン』『パージ』『ハッピー・デス・デイ』シリーズのほか、『ブラック・フォン』(2022)『ザ・スイッチ』(2020)『透明人間』(2020)『ゲット・アウト』(2017)など数々の話題作を送り出し、アトミック・モンスターも『死霊館』『アナベル』シリーズに代表される『死霊館』ユニバースのほか、『マリグナント 狂暴な悪夢』(2021)『モータルコンバット』(2021)など精力的な展開を続けている。
報道によると、すでに合併の交渉は進行しており、両社は2023年1~3月にも契約を結びたい構え。合併後、アトミック・モンスターは(ブラムハウスと同じく)ユニバーサル・ピクチャーズとのファーストルック契約を結ぶ予定だ。なお、合併後も「ブラムハウス・プロダクションズ」「アトミック・モンスター」というレーベルは残り、それぞれが独自のクリエイティブとブランドを維持したまま展開を続けていく。
これまでワンはワーナー・ブラザースとのファーストルック契約を結んでいたが、2022年6月に両者の契約は終了。ただし『死霊館』ユニバースや『アクアマン』シリーズなど、ワンが築いた既存のシリーズ/フランチャイズには今後も関与すると報じられている。
ブラムの計画では、今後は1年間に最低8本のホラー映画をリリースするほか、同時にNBCユニバーサルの配信サービス・Peacockでもホラーのテレビシリーズを継続的に発表する意向。「自分にホラー映画を作れるアイデアはひとつもない。他者の素晴らしいアイデアを認めることでビジネスを築いた」と公言するブラムと、「アイデアがありすぎて自分ひとりでは扱いきれない」というワンがより密に協働することで、両ブランドのさらなる強化が見込まれる。ふたりはビデオゲームやポッドキャスト、ライブイベント、VRなどにも関心を示しているだけに、映画・ドラマにとどまらないホラージャンルの拡大にも期待できそうだ。
ブラムとワンの初タッグ作は『インシディアス』(2007)で、同シリーズは第5作『Insidious: Fear the Dark(原題)』が2023年7月に米国公開予定(本作はソニー・ピクチャーズ配給)。しかし、合併の協議が始まったきっかけは『M3GAN/ミーガン』(2023年1月27日公開)だったとのこと。当初、ワンは同作をワーナーに提案したが、ワーナーには同じく“恐怖の人形もの”である『アナベル』シリーズがあったために企画を見送った。その後、ブラムが企画を引き受け、ユニバーサルが配給を担当。すでに同作は続編の話し合いもスタートしているという。
実際に合併の交渉が始まったのはここ数ヶ月で、話し合いは大手エージェンシーのCreative Artists Agency、ユニバーサル幹部のドナ・ラングレー&ジミー・ホロウィッツのもとに持ち込まれた。関係者によると、両社の協議内容は不明ながら、ワンがブラムハウスの株式を取得する模様。もっとも大部分はブラムが引き続き保持し、NBCユニバーサルも第三出資者としての立場を継続する。
なお、ブラムハウスとユニバーサルの配給契約は現時点で2024年夏までの予定。その後、ブラムハウスは契約を更新するか、新しいパートナーを探すことになる。
Sources: The New York Times, The Hollywood Reporter