『BOND 25』黒人女性がジェームズ・ボンドから007を継ぐとの報道 ─ ボンドガール改め「ボンドウーマン」、MeToo時代を意識か

大人気スパイ映画シリーズ『007』で、次期007を黒人女優が演じるという話題がにわかに盛り上がっている。2020年公開予定の『BOND 25(仮題)』で、黒人女優のラシャーナ・リンチ演じるキャラクターが、ダニエル・クレイグ演じるボンドから007の座を受け継ぐというものだ。
これは、英Daily Mail Onlineが報じたものを基に、米Colliderなど準主要メディアが追随しているもの。ソースとなったDaily Mailはあくまでもタブロイド紙であるため、信憑性には疑問が残る。事実として、主要メディアであるThe Hollywood ReporterやVariety、Deadlineなどは現時点で、この話題に一切手を付けていない。断定的に語ることは避けるべきで、したがって本記事でもあくまでも「噂」のものとしてお伝えしたい旨を明記しておこう。
一方で本件は、『007』シリーズ、しいては映画やポップカルチャー全体における「政治的正しさ」を再考させるのに最適な題材となるだろう。一体、『BOND 25』についてどのような噂が囁かれているのか。

#MeToo時代のボンド映画?
Daily Mailが伝えているのは、『BOND25』ではダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドがMI6を去り、彼のコードネームである「007」をラシャーナ・リンチ演じる黒人女性が引き継ぐということだ。あくまで、ジェームズ・ボンドの名はそのまま残るということである。
これが事実であれば、人種と男女の平等を強く意識した作品となりそうだ。「シリーズは進化しなければいけません。そして重要なことは、この作品は女性を適切に取り扱うということです。」一方でボンドは「そうする必要はありません。キャラクター通りである必要があります」とは、同記事に登場する匿名の「映画関係者」からのタレコミである。
興味深いことに、『BOND25』が「女性を適切に取り扱う」結果、ボンドの立ち位置にも影響が見られることになりそうだ。ボンドといえばダンディな色気でボンドガールを魅了し、男女の仲になるのがお約束。それこそがシリーズにおける大人な魅力のひとつであった。ところが『BOND25』では、こうしたボンドの色気が作用しなくなるという。ラシャーナ・リンチ演じる魅力的な黒人女性は、ボンドに呆れ、彼とベッドを共にすることに興味を示さない。
同記事によれば、「今作は、ボンド映画に期待したい要素には忠実でありながら、若い世代にもアピールできる現代的なボンド映画になる」とのこと。「華々しいチェイス・シーンや格闘も見られるが、ボンドは#MeTooの世界に対処する術を学ばなければならない。」つまり、かつては女性蔑視との声もあったボンドガール側、しいては男性主義社会における女性の人権意識に根ざした目線が加わる。現場では、「ボンドガール」という呼称が禁じられ、「これからは”ボンドウーマン”と呼びましょう」とのお達しがあったという。
「新007」と目され、改革的な『BOND25』で世界中の注目を一身に集めるであろうラシャーナ・リンチは、1987年生まれ、ロンドン出身の現在31歳。マーベル映画『キャプテン・マーベル』では、主人公キャロル・ダンヴァースの空軍時代のパイロット仲間であるマリア・ランボーを演じた。Daily Mailは、ラシャーナ演じる「素晴らしい女性」が007の座を受け継ぐシーンは「ポップコーンを落としてしまう瞬間」になるという。
念の為繰り返すが、この情報元はあくまでもタブロイド紙であり、現時点では噂に過ぎないもの。ただし新時代のジェームズ・ボンド像を巡っては、黒人俳優であるイドリス・エルバが有力候補と囁かれるなど、変化を求める声(と、対して伝統を守るべきとの声)が挙がっている事実がある。製作陣がこうした意見を取り入れる可能性が高いことは間違いないだろう。
映画『BOND 25(仮題)』は2020年 日本公開予定。
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Source:Daily Mail,Collider