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『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』は独立した物語、『スーサイド・スクワッド』とは繋がらず ─ マーゴット・ロビー、ジョーカー不在のハーレイ描きたかった

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
(C)2019 WBEI and c&TM DC Comics

ワーナー・ブラザース/DCコミックスは、大ヒット映画『ジョーカー』(2019)に続いて、新たな“悪の魅力”を世界に解き放つ。2020年最初のDC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は、『スーサイド・スクワッド』(2016)でマーゴット・ロビーが演じたハーレイ・クインの待望となる単独映画だ。

すでに公開されている予告編では、ハーレイがジョーカー(『スーサイド・スクワッド』ではジャレッド・レトが演じた)と別れ、新たな人生へと踏み出していくさまが見てとれる。そんな本作は、はっきりと『スーサイド・スクワッド』からは独立した作品だという。マーゴットをはじめとする製作チームが、2019年3月、撮影現場で行われたインタビューで明かした。

もはや「並行世界のよう」

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』でプロデューサーを務めるスー・クロール氏は、米Screen Rantにて『スーサイド・スクワッド』との関係について「独立した映画なので『スーサイド・スクワッド』とは繋がっていません。続編ではなく、ストーリーも続いていないんです」と言い切っている。同作のラストでは、収監されたハーレイをジャレッド演じるジョーカーが迎えに来るが、それも今回は「関係ない」と言う。

「この映画では、彼女の解放(emancipation/編注:原題に含まれる単語)を描くことをとても大切にしています。彼女とジョーカーは別れた。これはハーレイにとって、女性たちと進む、パーソナルな“発見の旅”なんです。だから『スーサイド・スクワッド』とはまったく関係ありません。」

クロール氏は、作風の面でも『スーサイド・スクワッド』とは「ハーレイが中心であることを除いて、特に似ていないと思います」と話している。同作でマーゴットが演じ、大きな人気を得たハーレイ・クインというキャラクターを利用して、そこに「新たな側面や背景を加えていく」作品だと強調しているのだ。

本作の監督を務めるのは、元新聞記者という異色の経歴を持つキャシー・ヤン。彼女はクロール氏よりも極端に、『スーサイド・スクワッド』と『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』を比較して「並行世界に存在するようなもの」と表現している。しかし、これはコミックにおける“マルチバース”という意味ではないらしい。発言を引き出した米Colliderも、「おそらく文字通りの並行世界ということではないだろう」と注意書きを添えているのだ。

「『スーサイド・スクワッド』のハーレイはジョーカーと深いつながりを持っていました。彼女たちの物語は非常に絡み合っていて、まさにラブストーリーとも言えると思います。けれども、今回は違う。だからこそ、ハーレイがどんな人間なのかを描く大きな機会なんです。それは必ずしも“ジョーカーと別れた後”には限らなくて、まるで並行世界にいるかのよう。だから私たちも、(『スーサイド・スクワッド』とは)違うゴッサムを作ることができました。」

その一方でヤン監督は、もちろん『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クインらしさをきちんと残すことにも留意したという。「タトゥーはそのままですし、ヘアスタイルはちょっと違いますが、『スーサイド・スクワッド』のハーレイとは自然に繋がっていますよ。ちゃんと見覚えのある彼女になっていると思います」

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey
©2019 WBEI and ©&TM DC Comics

実は、主演・製作を兼任するマーゴット・ロビーこそ、ジョーカー不在のハーレイに深い関心を示した一人だった。米ComicBook.comにて、マーゴットは『スーサイド・スクワッド』について「ハーレイとジョーカーの共依存を描いていた、2人は深い関係にあった」と振り返りつつ、本作のコンセプトについてこう語っている。

「私は、(ジョーカーとの)関係性の中にいないハーレイがどんな人物なのかを追求したかったんです。自分から関係を終わりにしたのか、それとも見捨てられたのかということも含めて。それでも(ジョーカーとの関係は)ハーレイに影響を与えていますが、その形がまったく違う。すると、彼女がもつ“人格たち”のいろんな面を見られると思ったんです。

“人格たち”と私が言うのは、彼女にはいくつも人格があると思うから。ハーレイについてじっくり考えていたら、彼女の美学は関係性によって決まるんだと思いました。ジョーカーとの関係があったから、『スーサイド・スクワッド』のハーレイになった。今回はジョーカーとは一緒にいないので、不安定だし、新しい彼女なんです。」

なおマーゴットは、米Screen Rantにて、ハーレイとジョーカーの別れについて「“別れる”とはどういうことか、私にはよく分かります。いろいろな意味で、誰もが理解でき、共感できるものだと思います」と述べ、その普遍性を強調してもいる。「彼女は別れに対して――ものを吹っ飛ばしたりして――対処していきますが、もちろん私はそんなことはしません。でも、そういう考えが生まれてくる動機はよく分かるんです」。

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』は2020年3月20日(金)全国ロードショー

Sources: Screen Rant(1, 2), Collider, ComicBook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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