マーベル『ブラックパンサー』冒頭シーン、テスト試写後に追加されていた ― 別人が担当していた可能性も

マーベル・シネマティック・ユニバース作品、映画『ブラックパンサー』は、圧倒的なスケールにて物語の幕を開ける。本編を観た後には「これ以外の始まり方はないのでは…」というほどに作品世界を明確に示す冒頭シーンは、なんと製作の終盤、テスト試写を経て追加されたものだったそうだ。
プロデューサーのネイト・ムーア氏が、英Empire誌のポッドキャストにてその製作秘話を明かしている。
この記事には、映画『ブラックパンサー』のネタバレが含まれています。
https://www.youtube.com/watch?v=31CgPclZL4I
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冒頭のナレーション、別人が担当する可能性があった
『ブラックパンサー』のオープニングでは、物語の主な舞台となるワカンダの歴史や、地球最強の金属「ヴィブラニウム」の説明が、CGアニメーションとナレーションによって描かれる。
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)でわずかに登場したティ・チャラ/ブラックパンサーの祖国には、いかなる過去があり、そこには何が秘められているのか、本編のカギを握る情報が一挙に提示され、その神秘性豊かな世界へ観客は引きずり込まれることになるのだ。
しかしネイト・ムーア氏によれば、この冒頭シーンは映画のテスト試写を経て必要だと判断されたものだという。
「観客の皆さんは映画をすごく気に入ってくれたんですが、劇中で起こることを正確に理解してもらう上で障壁があることに気づきました。ワカンダがどういう状態なのか、きちんと分かってもらえていなかったんです。
ワカンダがどういうものか、コミックのファンは当たり前に、マーベル・スタジオのファンは本質的にわかります。なぜ隠されているのか、とか。そういう人たちは第三幕(編注:三幕構成の最終幕)までに追いつくんですが、初心者の方はそうじゃなかったんですね。[中略]だから、ワカンダのストーリーを楽しく、ビジュアルで伝えたいと思いました。」
すなわち、この冒頭シーンは“親切設計”を心がけて追加されたものだったわけだが、結果的にこの方法は物語にも有用だったといえるだろう。エリック・キルモンガーに父親ウンジョブがワカンダの歴史を語ることは、物語の中盤でキルモンガーがウンジョブの資料を開くシーンとあいまって、二人の間に存在した時間や、ウンジョブが故郷について語るという行為の背景を否応なく想像させられる。
ところがネイト氏によれば、この冒頭シーンのナレーションは、当初ウンジョブではなく別の人物で検討されていたようだ。
「ウンジョブが息子に語りかけるのは第一候補ではなかったんですが、最終的にはすごく満足しています。幸い、何度も観ているうちに“これがいい、クールだね”って思ったんですよ。」
なんでも冒頭シーンには複数のパターンが考慮されていたそうで、ティ・チャカがティ・チャラに話して聞かせるというもの、ティ・チャカが観客に直接語りかけるもの、そしてシュリがワカンダの背景を説明するものなどがあったようだ。ネイト氏は「どれでも成立しましたが、これ(完成版)がエモーショナルでベストだと思いますね」と述べている。
もし実現するとしたら、あなたはどのバージョンが観てみたいだろうか? もはや想像するほかないが、シュリがワカンダについて教えてくれるシーンなんて、そんなの絶対楽しいにちがいない……。
映画『ブラックパンサー』は2018年3月1日より全国の映画館にて公開中。
Sources: https://screenrant.com/black-panther-opening-scene/
https://www.empireonline.com/movies/features/11-black-panther-secrets-ryan-coogler-nate-moore/
https://soundcloud.com/empiremagazine/black-panther-spoiler-special-ryan-coogler-nate-moore
©MARVEL STUDIOS 写真:ゼータ イメージ