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「『ブレードランナー2049』は2Dワイドスクリーンで」映像監督が推奨

(C) 2017 Alcon Entertainment, LLC., Columbia Pictures Industries, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

劇場における映画体験は、よりリッチなものに進化している。視界いっぱいに広がる巨大なIMAXスクリーンや、3D映像のみならず、揺れ動く座席や水しぶきなどの演出を盛り込んだ「4D」体験を謳う劇場も定着しつつある。

CG映像を多用したアクション/SF映画ほど、こうしたフォーマットとさぞ相性がよいだろう…と思いきや、『ブレードランナー2049』に限っては、その例にない。本作の撮影監督を務めたロジャー・ディーキンスが自身の運営するWebサイトのQ&Aコーナーで、『ブレードランナー2049』については2Dでの鑑賞を推奨しているのだ。

これは、サイト内でファンから寄せられた「『ブレードランナー2049』は2Dと3Dのどちらで観るべき?」との質問に答えたもの。そもそもロジャー氏は『ブレードランナー2049』を「2Dのワイド・スクリーン・フォーマットで撮影しました」と明かしている。

『ブレードランナー2049』のIMAXバージョンに、DMRプロセス(※)は用いていません。『007 スカイフォール』(2012)の仕上げの際に試したことがありましたがあまり好きになれず、『スカイフォール』のIMAX版では独自に変換しました。結果として皆さんにもご満足いただけました。」
※DMRプロセス:IMAXフィルム以外で撮影された映画をIMAX用にリマスターすること

『ブレードランナー2049』の鑑賞には2Dが推奨されるとして、スクリーンはIMAXの大画面を選ぶべきだろうか。HDR版を含む全てのバージョンの映像監修を行ったロジャー氏はこう答える。

私のオススメは、スタンダード2Dワイドスクリーン版ですね。」

なおこの問答の中でロジャー氏は、様々な投影規格についての持論も語っている。より豊かなコントラスト表現が可能なHDR(ハイダイナミックレンジ)については以下のように述べた。

「HDRは確かに投影システムとしては良いでしょうけど、注意点もあります。ブラックレベルが不自然に暗く、ハイライトが激しすぎて、フレーム内で何が重要なのかが見づらい。たとえば、イメージがHDR向けに調整されていないと、明るい窓に対した暗い表情などは見づらく、判別不能になってしまいます。」

また、「視聴システムとして問題を抱えているといえば、シルバースクリーンの使用かな」として、「シルバースクリーンに投影された映像は、中央のホットスポットから離れると彩度と濃度が不足してしまう。良い座席から観ればそう気にならないけど、座席によっては画質への妥協が必要です。3D映画が好きなら、受け入れなければならないものですね」とも書き込んでいる。

映画『ブレードランナー2049』は2017年10月27日公開。どのフォーマットで観ようとも、きっと素晴らしい映画体験が待っているにちがいない。映像監督の推奨するフォーマットでたっぷり楽しんだら、改めてIMAXスクリーンや3Dで観直すのも良いだろう。

Source:https://www.rogerdeakins.com/film-talk/blade-runner-2049-2d-or-3d/page-1/

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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