イーサン・ホーク、テネシー・ウィリアムズの戯曲『カミノ・レアル』を映画化 ─ 念願企画の監督務める、2020年内に撮影へ

『魂のゆくえ』(2018)『真実』(2019)のイーサン・ホークが、『欲望という名の電車』『ガラスの動物園』などの劇作家テネシー・ウィリアムズが1953年に発表した戯曲『カミノ・レアル』の映画化で監督を務めることがわかった。米Varietyが報じている。
戯曲『カミノ・レアル』は砂漠に覆われ、孤立しているスペイン語圏の町に一人の若いアメリカ人キルロイが訪れるところから物語が展開されていく。舞台となる町は、ドン・キホーテ、エスメラルダ、ジャコモ・カサノヴァなど、歴史、文学、神話の個性あふれる人物が登場する不思議な場所で、幅広い価値観や背景を持つ住人たちによって繰り広げられる不条理劇だ。1953年にブロードウェイで初演された際には決して成功したとは言えなかったようだが、年月を経て解釈が積み重ねられてきた。
映画版『カミノ・レアル(原題:Camino Real)』は、2020年にリオデジャネイロで撮影が行われ、クリスマスまでの撮影終了を目指しているとのこと。イーサンは本作には出演せず、キャストには『真実』で共演したジュリエット・ビノシュを希望していることを明かした。プロデュース及び出資を務めるのは、実業家ウーリー・シンガーが経営するパッセージ・ピクチャーズ(Passage Pictures)。ウーリーは、第36回サンダンス映画祭に出品されているイーサン・ホーク主演『テスラ(原題:Telsa)』でも仕事を共にした仲で、「今回のような情熱に溢れた作品に携われることを誇りに思う」と、イーサンと再び仕事が出来ることを喜ばしく思っているようだ。
イーサンはテネシー・ウィリアムズと血縁関係にあたる。戯曲『カミノ・レアル』に興味を抱くきっかけとなったのは、1999年のウィリアムズタウン・シアター・フェスティバルにて『カミノ・レアル』にキルロイ役で出演したことだ。イーサンは当時の出来事を、「今までのキャリアで最高の演劇体験のひとつ」と称している。また、「私は何年もこの作品に夢中になってきた」「テネシー(・ウィリアムズ)がやろうとしていたことは今なら映画で実現可能、そしてより優れたものにすることが出来る」と本作に捧げる想いを熱弁している。
イーサンは映画化にあたって、本作をロック・オペラとして捉えつつ、サミュエル・ベケットによる戯曲『ゴドーを待ちながら』にも通じる構想を持っているという。『ゴドーを待ちながら』は、木が一本立つ田舎の一本道を舞台に、ウラディミールとエストラゴンという二人の浮浪者が、ゴドーという謎の人物をひたすら待ち続けるという物語で、不条理劇の最高傑作といわれる。また、バズ・ラーマン監督が2001年に手掛けた『ムーラン・ムージュ』が目指したものに似ている部分もありながら、よりスピリチュアルな要素も少しだけ備えているとも話した。詳しい共通点については語られなかったため、続報が待たれるところだ。
Source: Variety