『キャンディマン』米特報、黒人迫害と「一生続く」恐怖 ─ ジョーダン・ピール脚本&製作

その名を唱えてはならない……。
『ゲット・アウト』(2017)『アス』(2019)などで知られる鬼才ジョーダン・ピールが製作・脚本を務める『キャンディマン(原題:Candyman)』の最新の米国版特報映像が公開された。
本作は、1992年公開(日本公開1993年)のカルトホラー映画のリメイク企画。米シカゴに実在した黒人居住区カブリーニ=グリーンを舞台に、鏡の前でその名を5回唱えると出現する謎の殺人鬼をめぐる都市伝説が描かれる。本編予告映像に続いては、3分足らずの影画でストーリーが再現された特報映像が公開されていた。同映像では、警官たちから追われ、虐げられた無実の人々(恐らく黒人)が、怪物キャンディマンとして復活するまでの恐ろしい過程が生々しくも示唆されている。
この度公開されたのは、影絵と本編映像の一部が織り交ぜられた30秒の映像。「キャンディマンは人じゃない。キャンディマンは忌々しい蜂の群れなのだ」と殺人鬼の正体を告げる謎の男の声で幕を開ける。続けてキャンディマンを追うアーティストのアンソニー・マッコイ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン二世)が、次第にキャンディマンに心酔する様子が描かれていく。「そんな物語やそんな痛みは、一生続くんだ。キャンディマンはこれまでに起きたこと、今もまだ起きていることに私たちがどう対処するかなんだ」。
トニー・トッドがキャンディマンを演じたオリジナル版では、ホラーという枠組みの中で、人種問題や偏見、かつて奴隷制度を容認していたアメリカの歴史が描かれた。現実の世界では黒人への人種差別に対する抗議運動Black Lives Matterが広がりを見せており、本作と昨今の風潮を結び付けずにはいられない。『ゲット・アウト』『アス』など、社会問題に鋭く切り込む新時代スリラーの鬼才ジョーダン・ピールが手がけることもあり、尚更だ。
主演はマーベルドラマ「ワンダヴィジョン(原題:WandaVision)」でモニカ・ランボーも演じるセヨナ・パリス。共演に『アクアマン』ブラックマンタ役のヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が参加する。トニー・トッドも姿を見せる見込みで、ほかヴァネッサ・ウィリアムスも再登場すると伝えられている。
映画『キャンディマン(原題:Candyman)』は、2020年6月12日に米公開が予定されていたが、9月25日に変更されている。