カンヌ国際映画祭、2020年の単独開催を断念 ─ 世界の映画祭を巡回へ、作品ラインナップは6月発表

2020年(第73回)カンヌ国際映画祭が、リアルイベントとしての開催を断念する方針であることがわかった。その一方、作品のラインナップは6月上旬にも発表予定。秋に開催される各国の映画祭に参加し、カンヌがホストを務める形で作品の上映を実現する構えだ。米Varietyが報じた。
当初、第73回カンヌ国際映画祭は2020年5月12~23日に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって延期が決定。6月末~7月上旬の開催が検討されていたが、政府の方針を受けて再延期を余儀なくされていた。その後も映画祭側は単独開催を目指していたが、現状を鑑みて、いよいよ「実イベントの開催は困難」と判断、作品ラインナップを発表する予定だ。
ディレクターのティエリー・フレモー氏は、発表される作品ラインナップが「コンペティション部門」「ある視点部門」「アウト・オブ・コンペティション部門」という区分のない、いわば“作品リスト”のような形式になることを米Screen Dailyにて明かしていた。ラインナップに加わった作品は、“Cannes 2020”のラベリングを受け、2021年春にかけて劇場公開予定。ただし次年度(2021年度)の選出を見込み、すでに一般公開を延期する方針の作品もあるという。
フレモー氏は「“フェスティバル”とは人々が集うパーティーであり、特定の場所に観客が集まるショーなのです」と述べつつ、例年の形式での開催が難しいことを認めている。ラインナップ発表に踏み切るのは、「愛する映画作品を広めたいという心からの願い」によるものだという。「世界中から素晴らしい作品が集まっていますから、それらを観客に届けるのが私たちの義務なのです」。
ラインナップの発表後、映画祭側は、映画館でのイベント開催に向けても動き出すとのこと。また単独開催にこだわらず、秋に予定されている映画祭とのコラボレーションも予定されている。フレモー氏によれば、一時は望み薄ともみられていた、ヴェネツィア国際映画祭での作品上映をはじめ、トロントやアングレーム、サン・セバスティアン、ニューヨーク、釜山、さらにはリュミエール映画祭にも上映のホストとして参加する意向だという。今年のカンヌ映画祭は、世界のあちこちに出没する、かつてない形式での実施となりそうだ。
Sources: Variety, Screen Daily