中国の映画業界、5月上旬の復活めざす ─ 映画館の再開相次ぐ、観客取り戻すカギは『ハリー・ポッター』再上映

新型コロナウイルス(COVID-19)の発端となった中国にて、映画産業の再起動に向けた動きが続いている。米Deadlineによると、2020年3月21日時点で、中国全体の4.5%にあたる計507館が営業を再開した。同日の国内興行収入は推定4,355ドルと伝えられており、少しずつながら、映画館に再び灯りが点されはじめた。
もっとも多くの映画館の営業が再開されているのは、国土の北西部に位置する新疆ウイグル自治区。新型コロナウイルスの感染者が約1ヶ月にわたり確認されておらず、3月16日(現地時間)にはウルムイ市のシネマコンプレックス「The Zhongying Golden Palm Cinema」などが最初に営業を再開したことで話題となった。四川省・青海省・河南省・福建省・広東省・内モンゴル自治区でも映画館が再オープンとなっているほか、首都である北京や雲南省などでも同様の動きがあるとのこと。今後、3月末から4月にかけて、相次いで営業が再開されていく見込みだ。
報道によると、現在営業されている映画館では、主に国内の旧作映画が上映されているという。『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017)や『American Dreams In China(英題)』(2013)『流転の地球』(2019)『神なるオオカミ』(2015)のほか、例外はレバノン映画『存在のない子供たち』(2018)だ。4月中旬以降からは、営業中止以前のヒット作である『1917 命をかけた伝令』や『ドクター・ドリトル』『フォードvsフェラーリ』『ジョジョ・ラビット』『バッドボーイズ フォー・ライフ』『ソニック・ザ・ムービー』などが公開される可能性もある。
またワーナー・ブラザースは、『ハリー・ポッター』シリーズの第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)の4Kレストア版を3D上映する予定。同シリーズは作品を追うごとに中国で熱狂的なファンを生んでおり、『ファンタスティック・ビースト』シリーズも優れた興行成績を記録。再上映は、中国映画市場の復活に大きく貢献する可能性がありそうだ。公開日は4月30日とみられており、例年、中国では5月1日の祝日前後に映画館が大きな盛況を迎えている。業界としては、その頃には現在よりも安定した状態を取り戻したいというわけだ。
しかしながら、中国国内における調査では、多くの回答者が「まだ映画館に出かける計画はない」と答えたとされる。新作映画の公開を待つよりも、人混みや外出のリスクを懸念する人々のほうがずいぶん多いということだろう。いったん抑制された消費行動がかつての活況を取り戻すには、抑制するよりもはるかに長い時間を要することになるのかもしれない。