コミコン初のオンライン開催に課題残る ─ ツイート数は昨年比95%ダウン

ポップカルチャーの祭典として、世界最大規模の盛り上がりを見せるイベント「サンディエゴ・コミコン」は2020年、新型コロナウイルスの影響を受けて実開催を中断。代わりに7月22日〜26日、「Comic-Con@Home」と銘打ってオンライン開催に。大規模なイベントがバーチャル代替となる最初の試みとして注目を集めたが、その結果には課題が残った。米Varietyがレポートしている。
コミコンといえば、映画配給会社やトイメーカー、出版社などの企業によるブース出展や、コミックアーティストとの交流、映画・ドラマのスターやクリエイターが登壇してトークを繰り広げるパネルイベントが名物。大作映画の情報解禁の場としてもおなじみで、サンディエゴ・コミコン会期中と直後は、新たに発表された映像やニュースで賑わうのが通例だ。
ところが「Comic-Con@Home」では、目玉となるマーベル・スタジオやルーカスフィルムが参加せず。DCコミックス/ワーナー・ブラザースもこのイベントをスキップし、8月予定の独自オンラインイベント「DCファンドーム」に全リソースを振った。いわば「Comic-Con@Home」は、「本命不在」にも近い状態での開催となったのだ。
もちろん大人気の作品の催しもあった。「Comic-Con@Home」ではパネルイベントをオンライン形式に置き換え、豪華ゲストが各々の自宅環境から参加。ドラマ「ウォーキング・デッド」は予告編の解禁や注目エピソードの放映予定発表などコミコンらしい情報をもたらしてくれている。ドラマ「ザ・ボーイズ」からも、新シーズン製作発表や新映像解禁などで盛り上げ、20世紀スタジオのマーベル映画『ニュー・ミュータンツ』は冒頭シーンを用意してくれた。
しかしながらVarietyからの報告によると、「Comic-Con@Home」会期中5日間の関連ツイートはわずか93,681件で、これは前年(2019)のリアル開催時と比べて95%もの下降になるという。映画関連のパネル上位5件のツイート数に絞って比較すると、前年比99%のダウンと伝えられている。数値上で最も繁盛したのは、『ニュー・ミュータンツ』のパネルイベントだった。
事前には「行列なし」「ペット歓迎」「最前列」とのメリットがアピールされていた「Comic-Con@Home」だが、強力ブランドの不在や、臨場感や希少性、インタラクティブ性の再現など、様々な課題も見えたことだろう。Varietyは「ファンがクリエイターと話せなかった」との声を紹介している。
イベントやコンサートなど、世界ではあらゆる催しのバーチャル置換方法を模索中だ。「Comic-Con@Home」はその重要な試みのひとつとして貴重な例になることは間違いない。
サンディエゴ・コミコンは毎年7月に行われており、通例どおりであれば2021年開催は東京オリンピックとおよそ同時期となる。その頃にはまたリアル開催が出来るのだろうか……?
Source:Variety