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「ザ・コンチネンタル」なぜウィンストンが主人公に? ─ きっかけとなった『ジョン・ウィック』劇中のセリフ、製作者が明かす

The Continental: From the World of John Wick
© Lionsgate

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の公開と同時に、スピンオフドラマ「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」も配信開始となった。若きウィンストンを主人公に、殺し屋たちの憩いの場となったコンチネンタルホテルの知られざる秘密が描かれる。

本シリーズのベースとなったのは、2014年公開の第1作『ジョン・ウィック』。なかでも、製作陣は劇中でのウィンストンの言葉を手がかりに、物語を編み上げていったという。

THE RIVERは、「ザ・コンチネンタル」でショーランナーを務めたカーク・ワードの公式インタビューを入手。なぜ主人公がウィンストンでなければならなかったのか。舞台が1970年代なのは何かと関係しているのか。物語の鍵を握る“コイン”の存在とは……。次々と出てくる疑問に答えてくれている。

「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」ショーランナー カーク・ワード オフィシャルインタビュー全文

© Amazon Studios

── 多くのファンに愛される『ジョン・ウィック』シリーズにどのように取り組みましたか?

作品のあるべき姿を完全に理解しているアルバート・ヒューズを監督に迎えましたが、(映画シリーズ監督の)チャド・スタエルスキは彼に「君の思うように」と言い、全てを任せたそうです。ファンの皆さんも、私たちが掘り下げるキャラクターと、新しいキャラクターを気に入ると思います。基本的に「コンチネンタル」そのものがこのドラマの主人公ですね。何といってもアクション。映画のアクションを担当するスタント・チームの87イレブンをそのまま起用することができたので、シリーズのアクションを知り尽くした彼らに、映画に基づいたスタイリッシュなアクションをしてもらい、それを私たちの世界に落とし込むことができました。

── アクションにはどのように取り組みましたか?

チャド・スタエルスキ監督と初めてお会いして、作品のテイストを売り込んだ時、彼は「アクションはキャラクターそのものであることを忘れるな」と言ってくださった。そこで私たちは、どうすれば登場人物全員がユニークな戦い方を見せられるか、どうすればそのキャラクターを引き出してこのアクションに説得力を持たせることができるのか、どうすればテレビドラマに落とし込めるのかを必死に考えました。

ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から
© 2022 Starz Entertainment, LLC

── シリーズの舞台に70年代を選んだ理由と、ウィンストンを登場させた理由について教えてください。

映画1作目で、ウィンストンが “私は40年間このホテルを経営している ”と言った、あのセリフに尽きます。ジョン・ウィックがいないと現代のコンチネンタルを描くことはできないので、現代を描くのは無理だと分かっていました。そこで計算機を取り出して、“映画が公開されたのは2015年か2016年だけど、40年前のニューヨークでは何が起きていたんだろう?”って感じでした。そして、街の危機、破産、暴力、そしてブロンクスの炎上などを書いていた「フィアー・シティ」の記事にたどり着きました。

※実際は2014年。

それで、「ちょっと待てよ、最初に戻ったらどうだろう?ジョン・ウィックから遠く離れた時代を舞台にしつつ、彼がこの世界にどうやって入ってきたのか、その理由を散りばめたら良いのでは?」とひらめいたんです。ウィンストンについては、映画ではあまり多くは描写されていない。ジョン・ウィックを“ジョナサン”と呼ぶのはウィンストン一人だけです。そして『ジョン・ウィック3(『ジョン・ウィック:パラベラム』)』でホテルが乗っ取られた時、彼は金庫に鍵をかけて酒を飲み、そこに座っていましたね。私たちにとって、彼は一番説得力のあるキャラクターだったんです。「そこから始めたらどうだろう?もしウィンストンが僕らの入り口だとしたら?」と。

コンチネンタルホテルは常に何らかの形で存在しています。だから、これほど長い歴史の中で存在してきたものを、どうやってその意味や目的を進化させるか。これを私たちは最初から分かっていました。ウィンストンとシャロンを登場させ、「コンチネンタルホテル」のストーリーを完成させるため、彼らの兄弟愛と絆を描写しなければならなかったんです。

── 若い頃のウィンストンは、どのようにキャスティングしたのでしょう?

コリン(・ウッデル)には時代を超越した魅力がありましたし、まるで映画スターのようでした。演技以外のことで、彼が何をしているのか想像がつかないくらいに。カメラテストをした日のことをよく覚えています。アルバート(・ヒューズ)と私はモニター越しに「この男は映画スターだ」って思いました。そしてあの目。彼の瞳の中には壮大な物語があるんです。

ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から
© 2022 Starz Entertainment, LLC

でもコリンにとっても、映画でウィンストンを演じたイアン・マクシェーンと同じ役を演じるというのは、大変な仕事だったと思います。私たちが何も知らないキャラクターについて、どうやって物語を語るのだろうか、って。でもコリンでなければならなかったんです。何百人もの俳優を見たし、素晴らしい俳優もいましたけど、彼しかいないと思ったんです。僕らにはそれがわかったんですよ。

── シャロンのキャスティングについてはどうでしたか?

シャロンのキャスティングに関しては、本当に何百人もの俳優に会いました。ランス・レディックは存在感がありますから。彼は何も言わなくても、権威と空間を支配していました。その要素をどうやって見分けるかが大切でした。しかし、特に若い俳優たちの多くは、人生の文脈というものを知らないんです。

私は、アヨ(アヨミデ・アデグン)のオーディションの日のことを決して忘れません。アルバートはこの仕事を30年もやっているから、自分が何を求めているかよく分かっています。スクリーンに映し出されたアヨは素晴らしいクオリティーでした。そこで知ったのですが、彼はまだ学生で、スクリーンにも舞台にも出たことがなかったのです。

The Continental: From the World of John Wick
© Lionsgate

アヨの最初のシーンはメル・ギブソンとの共演だったのですが、とにかく冷静。完全にプロフェッショナルで、信じられないほど役に没頭していました。彼は僕をビッグ・ブラザー、僕は彼をリトル・ブラザーと呼んでいます。彼をすごくかわいがって面倒を見ていますよ。

── サウンドトラックについて教えてください。

アルバートが参加してくれたとき、彼は300曲くらいのプレイリストを送ってくれたんです。彼はディスコもファンクもヒップホップも知っているんです。そして、このショーには確か46曲のニードルドロップがあるんです。

だから、音楽は作品の特徴の一つになりました。私たちが使ったニードルドロップのいくつかは、「まさにドンピシャ!」と思われるかもしれません。ですが、70年代にはレアな曲やB面の曲もありますし、ボブ・オライリーのような曲もあります。何度も何度も聴いたことがあるはずなのに、しっくりくるんです。

※作中で既存曲を使用すること。

── ホテルの撮影について教えてください。

変わった形の建物ですよね。三角形であまり大きくは見えないけど、不吉な感じがする。それがコンチネンタルの面白いところで、映画を観ても、このドラマを観ても、本当にあの建物の中にすべてが詰まっている。それがコンチネンタルの神秘性なんです。あんなに大きな部屋があるのか?答えはイエスです。ロビーは本当にあの中に収まっているのだろうか?そう、ロビーはとても広くて、暖炉のある部屋なんです。このホテルには、皆さんが見たことのないような別の側面があることを是非お見せしたいです。

The Continental: From the World of John Wick
© Lionsgate

── シリーズのファンが今作を見るべき理由を教えてください。

ぜひ見逃さないでほしいです。なぜなら、歴史として認識していることが、そこでは実際に起きていたから。それが、このホテルに独自の個性を持たせたかった理由です。ウィンストンについて知るだけでなく、シャロンについて知り、2人がどうやって一緒になっていくのか。その起源も学ぶことになるんです。

── シリーズを追うごとに進むウィンストンの旅について教えてください。

先に進むにつれて、ネクタイや華やかなスーツの裏側にある本当の彼を掘り下げていくのが本当に楽しかったです。彼が登場した際にお気づきかもしれませんが、少し訛りがあるんですよね。ロンドンで話しているときは少し大西洋訛りがあるんですけど、彼が(ニューヨークに)戻ってくると訛りが無くなる。自分のルーツに触れ始め、過去の残骸を見つめざるを得なくなったんです。 この役柄を作っていくとき、私はいつもコリンにこう言いました。「君が抱えている秘密と同じくらい君は病んでいて、過去は常に追いついてくる」と。なぜなら彼はこのキャラクターに多くの影響を与えたからです。

ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から
© 2022 Starz Entertainment, LLC

── このシリーズにおけるコインの意味について教えてください。

映画シリーズでは、あるコインが登場します。このコインにはどんな価値があるのでしょうか?と、チャド・スタエルスキに尋ねてみたところ、彼は「コインに価値はない」と言いました。コイン1枚で飲み物を買うこともできるし、人を雇うこともできるし、ホテルを取ることもできる。つまり、コインには金銭的価値はなく、本質的には通過点でしかないのです。このコインを持っていれば、あなたはこの裏社会の一員となり、裏社会の主席連合に通じたことになるのです。

では、もしこの冥界・異界に入る者を決めるコインの製造機が奪われたらどうなるでしょう?主席連合の構造はどうなるのでしょう?悪人の手にかかれば、いくらでもコインを作ることができます。市場にコインを溢れさせることができ、突然、誰もがそれを手に入れられるようになるんです。ルールはなくなります。何の不思議もなく。

「ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から」はPrime Videoで独占配信中。毎週金曜日に新エピソードが配信。

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THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

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