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Netflixなどストリーミングサービス、自宅待機の動きで活況 ─ 帯域幅節約のため画質低下の取り組みも

mohamed HassanによるPixabayからの画像

世界最大手のストリーミングサービスであるNetflix、「ゲーム・オブ・スローンズ」(2011-2019)や「チェルノブイリ」(2019)などで知られる米HBO局の配信サービス・HBO Nowなどが、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けて活況を呈しているという。アメリカやヨーロッパ諸国など、世界各国で自宅待機の動きが強まるなか、リビングルームなどで映画やドラマを観ることの需要が高まっているのだ。

Netflixのコンテンツ部門責任者であるテッド・サランドス氏は、米CNNのトーク番組「Reliable Sources」にて、「ご想像いただけるように、視聴数は全体的に上がっています。たくさんNetflixを観てくださっている方々がいる」と発言。未曾有の事態を受け、企画の中断などで現場は「非常に混乱している」というが、「システムは非常に安定しており、多くの人々に寄り添うことができる」と述べている。なお、Netflixは具体的な数字の変動を明らかにしていない。

また、HBO Maxは、3月14日(米国時間)以降のユーザーの利用時間数が、過去4週間の平均よりも40%以上伸びたことを明らかにしている。同社によると、これは2019年夏に「ユーフォリア/EUPHORIA」シーズン1や「ビッグ・リトル・ライズ」シーズン2の配信がスタートして以来の数字。同社のドラマシリーズを一度に3話以上視聴する“ビンジ・ウォッチング”は65%、HBO Now上での映画鑑賞は70%増加したほか、母体であるHBOの視聴についても優れた成績を示しているということだ。

一方でストリーミングサービスの課題は、インターネットの限られた帯域幅を過剰に占有する可能性も否定できないことだ。以前、Netflixが全世界の帯域幅の3分の1を占有しているとの議論も話題となったが、新型ウイルスの影響を受けて視聴数が増加すると、再びこうしたリスクを可視化することにもなる。すでにNetflixは、欧州連合(EU)の要請に応え、配信画質を一時的に25%ほど下げる方針だ。特に大きな影響があるイタリアやスペインを皮切りに、対象地域はヨーロッパやイギリスで広げられる予定。HD&UHD 4K画質での視聴は可能だが、これらも画質は調整される。Netflix側は「わずかな変化にお気づきになるかもしれませんが、料金に見合ったクオリティでお届けします」とコメントした。

こうした画質制限の動きは、Netflixだけでなく、YouTubeやAmazon Prime Video、ディズニーの映像配信サービス「Disney+」にも広がっている。それぞれ対象地域や制限方法は異なるが、新型ウイルスの問題が収束を迎えるまで、一連の動きはしばらく継続することになりそうだ。

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Source: IndieWire, Variety(1, 2, 3), ABC

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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