デンゼル・ワシントン、『トップガン マーヴェリック』『エルヴィス』の裏でキャストの「推薦」、頼もしいエピソードが続々明らかに

デンゼル・ワシントン。『トレーニング・デイ』(2002)や『マイ・ボディガード』(2004)、そして『イコライザー』シリーズなどで知られる、ハリウッド屈指の名優だ。スリラーからアクションまで、幅広い演技で高く評価されている。
そんな“デンゼル伯父貴”、スクリーンの外でもハリウッドでの“あしながおじさん”的な功績が、密かに知られている。たとえば、故チャドウィック・ボーズマンがまだ貧乏学生だった頃、演技を学ぶための留学費を、彼のためにこっそり全額支払いしていたというエピソードだ。その縁で『ブラックパンサー』のプレミアに招待された時には、感謝を伝えにきたチャドウィックに対して「あぁ、だから僕は今日呼ばれたのか!」とケロリとしていたそうだ。
また、話題になった第94回アカデミー賞、ウィル・スミス平手打ち騒動の現場でも、裏でウィルに接近し「最高の時こそ気を付けろ。悪魔はそういう時にやってくる」と助言を与え、ウィルに自制心を取り戻すよう促している。
そんなデンゼルに関する、新たな裏話がふたつ報告されている。トム・クルーズ主演の新作『トップガン マーヴェリック』グレン・パウエルは、デンゼルの後押しもあって出演を決心したというのだ。
この新作でパウエルが演じているのは、トムが指導するトップガン新世代パイロットのメンバーで、特に出番や見せ場も多いメインキャストの“ハングマン”。『トップガン マーヴェリック』は批評家らに大絶賛で迎え入れられているが、パウエルの熱演がその一端を担っていることは間違いない。

『トップガン マーヴェリック』は伝説の名作の続編だけあって期待値も高く、その高すぎるハードルを越えられず駄作に終わる可能性だってあっただろう。しかしデンゼルはどういうわけか、本作は成功するはずだと予感していたらしい。「デンゼルに言われたんです。“今回は本当にやったほうがいいと思うぞ”って」と、パウエルは米Entertainment Weeklyに証言している。ちなみにデンゼルとパウエルは、2007年の映画『グレート・ディベーター 栄光の教室』で仕事を共にした間柄だ。(なおパウエルは、主演トム・クルーズの助言にも触発されたことも語っている。)
これだけではない。今度は、エルヴィス・プレスリーの人生を描く伝記映画『エルヴィス』に主演するオースティン・バトラー。こちらもまた、伝説的ミュージシャンという大役を演じる、大きなリスクも伴う役だ。
実はデンゼル、この『エルヴィス』監督のバズ・ラーマンに、バトラーの起用を裏で推薦していたのだという。これが不思議な話で、バトラーがエルヴィスの持ち歌「Unchaindes Melody」を涙を流しながら演奏する映像を観て感銘を受けていたラーマンのもとに、知り合いでもないデンゼルから着信があり、「バトラーとは舞台で一緒になったことがあるんですが、あれほどの仕事ぶりは見たことがなかったですよ」との絶賛を伝えられたのだという。そこまで言うなら、ということで、ラーマンはバトラーとの面会を決意。これがきっかけとなり、バトラーは主演の座を掴む結果となったのだ。

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『トップガン マーヴェリック』でも『エルヴィス』でも、もしもデンゼルの後押しがなければ、全く別のキャストになっていた可能性はある。『マーヴェリック』は大ヒットがほぼ約束されているようなもので、『エルヴィス』も大きなポテンシャルを秘めた作品だ。クレジットされることはなくとも、デンゼル伯父貴の功績は大きい。