『バズ・ライトイヤー』『ストレンジ・ワールド』計3億ドルの赤字になっていた

ウォルト・ディズニー・カンパニーは大きな転換期を迎えている。2023年3月末、ディズニーCEOのボブ・アイガー氏は55億ドルのコスト削減を決定し、夏までに7,000人の従業員を段階的にレイオフ(解雇)するなどの事業再編計画を発表。映画・ドラマの製作費削減やメタバース部門の解散、ディズニープラス重視の戦略を見直すなどの方向性を明らかにしていた。
このことと決して無関係ではないのが、2022年のディズニーに大きな損失をもたらした2本の劇場公開作品だ。米Deadlineは、2022年の映画興行で最も失敗した5作品のうち、2作品がディズニーのアニメーション映画だったことを報じている。ひとつは『トイ・ストーリー』シリーズのスピンオフ映画『バズ・ライトイヤー』で、製作費2億ドル・広報宣伝費1億1000万ドルなど計3億7,300万ドルを投じたにもかかわらず、収益は2億6,700万ドル。1億600万ドルの赤字となった。
以前から『バズ・ライトイヤー』については、なぜ興行成績が伸び悩んだのか、その原因の反省・検証をピクサー社内でも行っていることがピート・ドクターCCOによって明かされていた。ディズニー&ピクサーは『トイ・ストーリー5(仮題)』の企画を進行しており、同作ではこの反省が活かされるものとみられる。
そして、2022年の映画業界で最大の赤字と報じられているのが『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』だ。本作には製作費1億8,000万ドル・広報宣伝費9,000万ドルなど計3億1,740万ドルが費やされたものの、収益は1億2,000万ドルにとどまり、赤字額は1億9,740万ドル。オープニング興行成績はディズニー史上ワーストとなり、グッズの売上も伸び悩んだため、劇場公開の1ヶ月後にはディズニープラスで配信がスタートしていた。

『バズ・ライトイヤー』と『ストレンジ・ワールド』の赤字額は合計3億ドル以上、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)の世界的ヒットを鑑みれば取るに足らない金額……と考えられなくもないが、それでも1本あたりのダメージとして相当大きいことに変わりはない。
なおディズニーは、同じく大きな赤字となった実写映画『アムステルダム』にもNew Regencyとともに共同出資しており、同作は1億840万ドルの赤字となった。アイガーCEOが現在進めている事業再編計画は、今後の映画や公開戦略にどんな影響を及ぼすことになるか。
『バズ・ライトイヤー』『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』『アムステルダム』はディズニープラスにて配信中。まだ観ていない方は、これを機会にぜひチェックしてみては。
Source: Deadline