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ディズニーCEO、コロナ禍の公開延期も「何ヶ月も待ってはもらえない」 ─ 映画興行の苦境、配信サービスの重要性を語る

映画館
Photo by Eden, Janine and Jim https://www.flickr.com/photos/edenpictures/49674923947/

2020年の初頭から世界を襲った新型コロナウイルス禍は、2021年の春を迎え、ワクチン接種が始まった今でも終息の見通しが立っていない。ハリウッドでは大作映画の公開延期が続き、“コロナ禍以前”の興行が完全に戻る見込みもないのである。ウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・チャペックCEOは今、「かつての状況が戻るかどうかはわからない」との前提に立っている。

このたびチャペック氏は、モルガン・スタンレーのカンファレンス・イベントにてポスト・コロナの興行戦略について言及。現在の映画市場について「消費者はかつてないほどしびれを切らしている」との考えを明かした。米Varietyが報じている。

「特にこの1年間は、見たい時に自宅でたくさんの作品を見られるゆとりがありました。元通りの状況に戻るかは分かりませんが、もちろん劇場公開を切り捨てるようなことはしたくないと考えています。ただし、映画の公開を何ヶ月も待ってもらえるとも思っていません。」

2020年、ディズニーは『ムーラン』を自社の映像配信サービスであるディズニープラス(Disney+)でリリースした。2021年3月にも『ラーヤと龍の王国』も劇場&配信の同時展開に踏み切っているが、多数の作品を抱えるディズニーにとっては、あくまでごく一部での判断だ。マーベル・シネマティック・ユニバース最新作『ブラック・ウィドウ』は2021年4月の日本公開、5月の米国公開が近づいているが、一部では公開延期説がささやかれ、いまだプロモーションも始まっていない。

そんなコロナ禍にあって、ディズニープラスは躍進を続けており、なんと2021年2月の累計会員数は約9,490万人に到達。しかも会員の50%以上は子どもがいない“非ファミリー層”だといい、それゆえチャペック氏は「コンテンツの本質を広く考える機会になった」と話している。ディズニーの主なターゲットはファミリー層というイメージだが、いまやラインナップの訴求力はその範囲にとどまらないのだろう。

現在、チャペック氏は公開保留中の作品を「ただ埃をかぶっている」状態だと形容しており、コロナ禍において「選択肢が与えられることは理にかなっている」として配信サービスの重要性を強調した。「安心して劇場に行けない、自宅で映画を楽しみたいという人たちに選択肢があるのは良いことです。今後がどうなるかは……そうですね、これから私たちもたくさん経験を積み、データを得ていくことでしょう」

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Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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