『シャイニング』続編『ドクター・スリープ』キューブリック版ホテルを設計図から完全再現 ─ ユアン・マクレガー、演技の参考はジャック・ニコルソン

ホラー界の帝王スティーヴン・キング原作、ユアン・マクレガー主演映画『ドクター・スリープ』は、キングの代表作である傑作『シャイニング』の続編を映画化する作品でありながら、同時にスタンリー・キューブリック監督作品『シャイニング』(1980)の世界観も踏襲するチャレンジングな一本だ。
『ジェラルドのゲーム』(2017)や「ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス」(2018-)で知られる気鋭のホラー監督マイク・フラナガンは、キューブリック版『シャイニング』の舞台オーバールック・ホテルを完全再現。米/Filmでは、ワーナー・ブラザースに保管されていた美術の設計図をもとに、セットを建て直して撮影に臨んだことが明かされている。その作り込まれた美術の模様は、公開されている予告編にてお確かめいただきたい。
フラナガン監督によると、オーバールック・ホテルを再現するため、製作チームは映画版『シャイニング』の検証に膨大な時間を費やしたとのこと。フレーム単位の分析によって、本棚の配置や、入っている本の一冊一冊、さらには壁にかかっている写真に至るまで、多くの観客が親しんだホテルの復元に努めたという。/Filmによると、取材のためにセットを訪れた記者たちが驚愕する様子を見てフラナガン監督は爆笑していたとか。これぞクリエイターの執念、オーバールック・ホテルが人間を狂わせてしまうのは本当だったのだ…。
かつてこの場所で父親に殺されかけた過去を持ち、今でもトラウマに苦しむ主人公ダニーを演じるのはユアン・マクレガー。意外なようにも思われるが、ユアンは『シャイニング』で少年ダニー役を演じたダニー・ロイドではなく、父親役のジャック・ニコルソンによる演技を参考にしたそうだ。
「小さなダニーはそれほど気にしませんでした。僕が見ていたのはジャックの方。父親ですからね。[中略]『シャイニング』の少年から僕が役立てられることはさほど多くないんです。5歳の少年と、彼が大人になった時がどれほど似ているものかは分からないでしょう。むしろ、いろんな面で父親に似ているものだと思う。そういう意味で、ジャックを興味深く観察しました。ジャック・ニコルソンをコピーするのではなく、彼の息子らしく喋りたかったんです。」
映画『ドクター・スリープ』は2019年11月29日(金)全国ロードショー。