ティルダ・スウィントン、『ドクター・ストレンジ』配役問題を振り返る ─ マーベル社長の反省に「とても感謝している」

2021年5月、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長が、『ドクター・ストレンジ』(2016)エンシェント・ワンのキャスティングについて反省の意を示していた。それに対して、エージェント・ワンを演じたティルダ・スウィントンが感謝の言葉を送っている。
ドクター・ストレンジのメンターであるエンシェント・ワンは、コミックではチベット人の老齢僧侶という設定。ところが映画化にあたっては、イギリス出身のスウィントンが起用され、“ホワイトウォッシング”だと批判を受けていた。それから時が経ち、ファイギは「スマートかつ最先端の判断だと考えていました」と当時の決断を振り返りながら、「“別の方法は見つけられなかったのか?お約束を繰り返すことなく、しかしアジア系の俳優をキャスティングする方法はなかったのか”と。答えはもちろん、イエスです」と批判を通して反省したようだ。
米Varietyのインタビューにて、スウィントンは「彼がそう言ってくれたことに、とてもとても感謝しています」としながら、「当時は自分の頭の中にクエスチョンマークがいっぱいになりました」と振り返っている。「スコットランド人の女性がこの役柄を演じるという考えに対して、世間は抵抗を全くもっておらず、広く歓迎もされているという認識でした。ただ、ある時点でそれが変わったわけですが、そこには非常に正当な理由があり、私自身すごく共感を持ちしました」。
そんなスウィントンは、エンシェント・ワンのホワイトウォッシング論争が巻き起こった当時、アジア系の女優、コメディアンのマーガレット・チョーに理解を深めるため連絡を取っていたのだという。チョーは「私たちの物語は白人の俳優によって何度も何度も語られ、これをどう受け止め対処したらいいのか途方に暮れています」と説明した。もっとも、チョーはスウィントンが面識があったわけではなかったため、連絡を受けたときは戸惑いを隠せなかったという。