【ネタバレ】『デッドプール2』豪華カメオ出演者解説 ― キャスティング経緯、撮影舞台裏も

映画『デッドプール2』の見どころは、本編の随所に登場する豪華カメオ出演者にもある。誰が出てくるのかを早々に明かしてしまうのは野暮というものだろう、本編を未見の方には、なにはともあれ劇場で驚かされる体験(あるいはまったく気づかないという体験)を味わってほしい。本記事では映画をご覧になった方向けに、その答え合わせと舞台裏のエピソードをご紹介していくことにしよう。
この記事には、映画『デッドプール2』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。

ブラッド・ピット
『デッドプール2』最大のサプライズといえば、唐突に登場する大スター、ブラッド・ピットだろう。我らがデッドプール率いる「Xフォース」のメンバー、透明人間のバニッシャー役で出演しているが出番は一瞬。パラシュートで地上へ降りる際、あっけなく電線に引っかかって感電した際に人間としての姿が見えるのだ。
脚本家のレット・リースいわく、もともと本作の劇中でバニッシャーの姿を見せるつもりはなかったとか。しかしライアン・レイノルズがバニッシャーの感電シーンでスターをカメオ出演させるというアイデアを思いついたことをきっかけにブラッドへオファーが出され、出演シーンは追加撮影の一番最後に撮られたという。
ちなみにブラッドが出演を決めた理由は、前作『デッドプール』(2016)を子どもたちが好きだったからだとか。撮影時間は1時間半とも(レット談)、7分とも(ライアン談)いわれているが、ともかくブラッドがさっそうと現れ、すさまじいスピードで撮影を終えたことはわかるだろう。
ところでブラッドといえば、ジョシュ・ブローリンが演じたケーブル役の候補者として噂されていた人物だ。ブラッドそっくりのコンセプトアートが流出したことも話題となったが、このたびデヴィッド・リーチ監督はその噂が真実だったことを明かしている。
「(ブラッドのカメオ出演は)最高にうれしかった、信じられなかったですね。ケーブル役について、彼とは出演の初期交渉をしたんですよ。アートが流出して、インターネットから削除しなきゃいけなかったこともありましたね。
シリアスな話し合いで、彼は出演に興味を持ってくれました。マーベル・ユニバースやデッドプールのことも大好きだったんですが、(交渉は)なにかの理由でうまくいかなかったんです。ただ話し合いが終わる時、彼は可能性を残しておいてくれて。“なにか必要のことがあれば電話してほしい、関わりたい”って。」
さらに粋なエピソードとして、ブラッドは本作へのカメオ出演を最低限のギャランティで快諾したとのこと。ただし同時に、思わぬ“出演料”を求めていたそうで……そのエピソードをレットはこのように振り返っている。
「ブラッドはライアンに“最低限のギャラで出るよ。でもスターバックスのコーヒーを1杯欲しい、君に買ってきてほしいな”ってジョークを言ったんです。だからライアンは本当にスターバックスでコーヒーを買ってきて、現場でブラッドに渡してましたね。でも彼はそのジョークを忘れてたんですよ、あれはほんとに笑った。」
ちなみにライアンはこのカメオ出演を「世界最高の映画スターの、最大のムダ使い」と呼びつつ、その実現を心から喜んだようだ。ブラッドについて「すごく紳士的で、すごく愉快でチャーミング。(出演には)本当に興奮しました」と絶賛しているのである。
マット・デイモン
はっきりスクリーンに登場する、しかし一瞬の出番で観客を戸惑わせるブラッド・ピットに対して、しっかり出演してセリフを喋るにもかかわらず観客が絶対に気づかないカメオ出演者がマット・デイモンだろう。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)へのカメオ出演も記憶に新しいマットは、なんと『デッドプール2』には特殊メイクを施して登場。ケーブルが現代に到着するシーンで、トイレットペーパーやウエットティッシュについて熱心に語る男の役を演じている。エンドクレジットに掲載されている俳優名は、映画『リプリー』(1999)でマット演じる主人公トム・リプリーが化けたディッキー・グリーンリーフ。ちなみにマットの相手をしていたのは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のK-2SO役で知られるアラン・テュディックだ。
なんとデヴィッド監督によると、マットとアランが本作に出演していることは多くのスタッフにも秘密だったという。3時間を要する特殊メイクによって、よく見知ったスタッフですらマットが撮影現場にいるとは気づかない事態が起きていたとか。したがって「出演に気づかなかった…」とお嘆きの方も気にする必要はない。気づくほうがヤバいのだ。
「(マットのカメオ出演は)ライアン・レイノルズのセレブ・パワーのおかげですよ。それから愛されているシリーズであること、僕がライアンとマットのスタント・ダブルをやったこと(編注:デヴィッド監督はスタントパーソンとしても活躍)、それらすべてが役立ったと思います。[中略]実際、マットもライアンをよく知っていますしね。」
ちなみにブラッドのケースとは異なり、マットへの出演オファーは、ライアンとマットの食事中に行われていたという。それであんなカメオ出演が実現してしまうのか……。
X-MEN
映画前半に観客を驚かせるのは、『デッドプール』と同じく20世紀フォックスが製作する映画『X-MEN』シリーズのキャラクターだ。Xマンションにて「有名なX-MENが出てこない」とボヤくデッドプールをよそに、ある一室にはおなじみのヒーローが揃っており、部屋の扉はそっと閉められる。
このカメオ出演を、前作『デッドプール』(2016)でも見られたX-MENネタの「進化系」だと述べるのは脚本家のポール・ワーニックである。「全員部屋に揃ってるのに、デッドプールが気づいてないのは面白いだろうなと思ったんですよ。」
このシーンに登場したのはプロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)、ビースト(ニコラス・ホルト)、クイックシルバー(エヴァン・ピーターズ)、サイクロップス(タイ・シェリダン)、ストーム(アレクサンドラ・シップ)、ナイトクローラー(コディ・スミット=マクフィー)の6名。撮影はデッドプール役のライアンとは別に『X-MEN:ダーク・フェニックス(邦題未定、原題:X-Men: Dark Phoenix)』の撮影現場で実施され、デッドプール2』の現場には合成用のグリーンスクリーンが張られていたという。演出を担当したのは、『ダーク・フェニックス』の監督であり『デッドプール2』ではプロデューサーを務めているサイモン・キンバーグだ。
クイックシルバー役のエヴァン・ピーターズは、このシーンでは複数のバージョンを撮影したことを明かしている。残念ながら完成版には使用されなかったものの、なかにはさらに愉快で下品なテイクも存在したとか……。
「たくさんのバージョンを――PG指定に収まらないようなものも――撮って、最終的に使われたのがあれ(完成版のシーン)なんです。みんな、エンドクレジットで使われるものと思っていたんですが、映画の前半でしたね。おかしな感じ…衝撃でしたよ。」
映画『デッドプール2』は2018年6月1日より全国の映画館にて公開中。
『デッドプール2』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/
Sources: SR, ComicBook.com(1, 2), CinemaBlend(1, 2), Collider, Yahoo, ET
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