『ドクター・ストレンジ/MoM』サウジアラビアの上映見合わせ、約12秒のシーンが理由だった ─ 「上映禁止ではない」と現地担当者が報道否定

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開がサウジアラビアで見送られた件について、その原因が約12秒間のシーンにあったことがわかった。英The Guardianが報じた。
この記事には、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のネタバレと捉えうる内容が含まれています。

既報によると、『ドクター・ストレンジ』続編は2022年5月5日(米国時間)より海外公開がスタートし、サウジアラビアほか湾岸諸国でも同日封切りの予定だった。しかしサウジアラビアでは、「LGBTQに関する」理由のために上映禁止が決定されたとのこと。新キャラクターのアメリカ・チャベスが同性愛者の設定ゆえだと伝えられたが、これは事実ではなかったことが判明している。
サウジアラビアにて映画の検閲を統括するナワフ・アルサバン氏によると、『ドクター・ストレンジ』続編が審査を通っていない理由は、アメリカ・チャベスが「ふたりの母親」について言及する約12秒の場面にあるとのこと。氏は「彼女(チャベス)が母親たちの話をします。彼女には母親がふたりいる。こうしたものが中東で審査を通過するのは非常に難しいのです」とコメントした。
アルサバン氏いわく、サウジアラビア側は配給会社を通じてディズニーに該当場面の編集を求めたというが、ディズニーは「(編集には)積極的でない」と回答。これによって公開の見合わせが決まったが、アルサバン氏は「決して(上映が)禁止されるわけではない」として、本作の上映が今後も不可能であることは否定した。「上映を禁じる理由はありません。単純な編集の問題です。現時点では拒否されていますが、我々は可能性を閉ざさず(公開に向けて)作業にあたっています」。
同性愛が違法とされる湾岸諸国では、LGBTQに関する言及や表現が検閲を通らないことがしばしばある。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』はエジプトでも上映見合わせとなっているが、同国がサウジアラビアと同じく“12秒間の場面”だけを問題視したのか、別のシーンにも問題があると捉えたのかは不明。クウェートでも上映見合わせと報じられているほか、サウジアラビアやカタールでもチケット販売が実施されていない状況だ。ただしアラブ首長国連邦では前売りが始まっており、予定通り上映されるものとみられる。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』は、日本では2022年5月4日(水・祝)より映画館で公開。
Source: The Guardian