『DUNE/デューン』に『帝国の逆襲』の影響あり ─ 「大人向けスター・ウォーズ」と語った監督、その真意明かす

フランク・ハーバートの古典SF小説『デューン 砂の惑星』は「スター・ウォーズ』ジョージ・ルーカスに大きな影響を与えたと言われるが、その『スター・ウォーズ』が、映画『DUNE/デューン 砂の惑星』に影響を与え返すこととなったようだ。
この興味深い輪廻について語るのは、『DUNE/デューン』監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ。監督は若い頃『エピソード4/新たなる希望』(1977)と『エピソード5/帝国の逆襲』(1980)には特に影響を受けたといい、この2作は「映画製作者になった理由のひとつかもしれない」というほどの重要作だった。
監督は、ジョージ・ルーカスが『デューン』に影響を受けていたという事実を挙げ、そのルーカスによる『スター・ウォーズ』に影響を受けた自分が『デューン』を映画化するということが「一周したようだ」と感慨深い様子だ。米Playlistに語っている。
「サイエンス・フィクションは、私にとってはシリアスなものです」と語る監督にとって、とりわけ『帝国の逆襲』にはダークさやシリアスさが感じられたようだ。「サイファイ(SF)は、シリアスに取り組まれれば、非常にパワフルなものになる」と監督。『帝国の逆襲』においては、ルーク・スカイウォーカーの精神描写に近付く瞬間があったものの、「それ以降はその優雅さがなくなった」。
監督はかつて、『DUNE/デューン』を「大人向け『スター・ウォーズ』のようにしたい」と語っていた。「私が以前、“『Dune』はその(『スター・ウォーズ』の)精神に則ったものにしたい”と言ったのは、そういうことだったのかもしれません」と、監督はこの度改めて語っている。つまり『DUNE/デューン』では、『帝国の逆襲』に見られたダークさやシリアスさを意識したということだ。「私が『スター・ウォーズ』から離れたのではなく、『スター・ウォーズ』が私から離れたのです」とも述べている。
『帝国の逆襲』は、確かに『スター・ウォーズ』旧3部作の中で最もダークな作品だ。ルークは惑星ダゴバで修行中、ダース・ベイダーの幻影と対決。切り落とされた首からルーク自身の目が睨んでいるという場面では、ルークにもダークサイドの片鱗があることを示唆していた。
ルークは、続く『ジェダイの帰還』(1983)でもダークサイドの危うさを見せてはいたが、監督に言わせれば、こうした善悪の境界線の危うさを最も「優雅に」描いていたのが、『帝国の逆襲』だったということだ。もっとも、監督は「『スター・ウォーズ』について話すと、あれこれ検証されてしまうから、非常にデリケートだ(笑)」「磔にされてしまうから、あまり書かないで(笑)」とも断っている。
原作小説にも描かれているように、『DUNE/デューン 砂の惑星』のポール・アトレイデスは、自らの運命に抗おうとするなど、内なる葛藤も描かれる。『帝国の逆襲』ベイダーの亡霊のように、自らの暗い未来と対面する一幕もあり、監督の語った意向にも頷ける。
Source:The Playlist