【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』なぜキャプテン・アメリカ◯◯◯◯◯◯◯渡したのか ─ ◯◯の意味と舞台裏、さらなる可能性

キャプテン・アメリカの継承
『アベンジャーズ/エンドゲーム』で6つのインフィニティ・ストーンを過去から集めてきたアベンジャーズのメンバーは、サノスを同じように指を鳴らすことで、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)で塵と消えてしまった生命を取り戻すことに成功する。甦ったヒーローと一丸になってのサノス軍との決戦を終えたのち、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカは、集めてきたストーンを過去の“あるべき場所”へと戻すのだった。
しかし、スティーブがキャプテン・アメリカとして現代に戻ってくることはなかった。ストーンを返し終えたスティーブは、過去に戻ってペギー・カーターと“再会”し、自分の人生を歩むことを決めたのだ。タイムトラベルを経て、分岐した世界を生きたスティーブは老人の姿で現代へと帰ってくる。そしてキャプテン・アメリカの盾をサム・ウィルソン/ファルコンに託すのだった。サムが盾を手に「他人のものみたいだ」と口にすると、スティーブは「君のものだよ」と応じる。
この時、なぜスティーブは親友のバッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャーではなく、サムに盾を託したのだろうか。
サムとスティーブの倫理観は「一番近い」
本作の脚本段階では、もちろん製作チームの間で「誰がキャプテン・アメリカの盾を受け取るのか」という議論が繰り広げられていたという。しかし米国のポッドキャスト「Happy Sad Confused」で、ジョー監督は「大変な話し合いではなかったですね」と述べた。なぜなら、サムが盾を受け取ることこそが「筋の通った展開」だとすぐにわかったからだ。
「キャップの高潔さに釣り合うのはサムしかいなかった。(『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で)ワシントンの路上で二人が出会ってから、この映画の結末に至るまで、MCUにおいては必然的な選択だと思います。」
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)で初登場したサムは、戦場にて友人の死に立ち会ったことから、戦争でトラウマを抱えた退役軍人を癒すカウンセラーとして働いていた。米USA Todayにて、アンソニー監督は「サムは戦争で傷ついた人々を癒すことに時間を費やしていた。そこにはキャプテン・アメリカの行為にも等しい価値があるんです」と語っている。
さらに米Comicbook.comのインタビューで、ジョー監督は「なぜバッキーではなくサムなのか」という問いかけにも直接応じている。
「バッキーは精神に大きな傷を負っていて、今でも精神を乗っ取られてしまう可能性があります。その問題はまだ解決されていない。一方でサムには自分の意志があって、今でもコミュニティに奉仕する精神があり、(退役軍人の)集まりにも所属しています。[中略]サムはキャップに一番近い倫理観を持っています。だからキャップもサムがふさわしいと考えたんです。」
ちなみにジョー監督は、「スティーブとバッキーが面白いのは、親友同士ですが、全く違うタイプの人間だというところ」であるとも強調している。親友である=キャプテン・アメリカの後継者にふさわしい、というわけではないのだ。