『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』J・J・エイブラムス、今回は「自分の本能や直感で創作する」 ─ 『最後のジェダイ』の影響明かす

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』を手がけるJ・J・エイブラムスは、スカイウォーカー・サーガの最終作であり『スター・ウォーズ』新3部作となる本作で、映画作家としての挑戦に打って出る。
米Vanity Fairにて、J・Jは『フォースの覚醒』(2015)とは異なるアプローチで創作に取り組んでいることを明かした。「9本の映画から一本の道筋が見える、そんな作品にしなければならないし、それが今回の挑戦なんです」と述べながらも、J・Jは「今回は“やっちゃえ”という感じが強い」と話しているのである。
「今回の作業をしていて、自分のアプローチが少し違うことに気づいたんです。『フォースの覚醒』では、『スター・ウォーズ』とはこうあるべきだというところを目指して全力を尽くし、そうすることで『スター・ウォーズ』に敬意を払っていました。(今回は)その教えに背いているところがあるのかなと思いますね。何かに忠実にするのではなく、自分が正しいと感じることをやっています。」
映画作家J・J・エイブラムスの覚醒
そもそも『スカイウォーカーの夜明け』というタイトルが冠された「エピソード9」は、もともとJ・Jが手がける予定ではなかった。『ジュラシック・ワールド』(2015)のコリン・トレボロウがルーカスフィルムとの創造性の違いからプロジェクトを離脱したことで、J・Jに白羽の矢が立てられたのである。『フォースの覚醒』を経て、もはやJ・Jは『スター・ウォーズ』を手がけること自体へのプレッシャーを感じていないことに気づいたという。
「自分が正しいと感じたことをやる」という思い切りの背景には、そんなプレッシャーからの解放と、全世界で賛否を巻き起こした『最後のジェダイ』(2017)の存在があった。同作の脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンの野心的な取り組みに、J・Jは大いに励まされたというのだ。
「ライアンの仕事を観たことが、自分の本能や直感から創作に取り組むことに繋がりました。今回は『フォースの覚醒』の時なら選ばなかったような選択をしています。ストーリーの面でも、演出の面でも。シリーズやストーリーの細部に忠実だからこれをやるんだ、ということは減ったと思います。」

現にJ・Jは、『スカイウォーカーの夜明け』の製作にあたり、創造主ジョージ・ルーカスや『帝国の逆襲』(1980)『ジェダイの帰還』(1983)『フォースの覚醒』脚本のローレンス・カスダン、そしてライアン・ジョンソンとも話し合いを持ったという。
「新3部作は若い世代を描いています。新しい世代は、過去の負債と向き合わなくてはなりません。それは父親の罪だったり、偉大な人物の功績や知恵だったり、あるいは虐殺への関与だったりする。そんな物言わぬ悪に対峙する時、彼らに備えはあるのか、また心の準備はできているのか。過去からいったい何を学んだのか。壮大なことや、古い時代を蘇らせることが大切なのではありません。自由を守ること、虐げられないことが大切なのです。」
ここでJ・Jが語っているテーマは、『最後のジェダイ』の内容にも通じ合っている。カイロ・レンが「過去を葬れ」と言い放った『最後のジェダイ』は、登場人物にそれぞれの過去が迫ってくる物語だった。レイの出自、カイロの血縁、ルーク・スカイウォーカーの歴史は、どこまで行っても彼らを追いかけてくる。過去は決して葬れないのだ。そしてライアンもJ・Jも、『スター・ウォーズ』というシリーズの葬れない過去に直面しているのである。
「この映画(『スカイウォーカーの夜明け』)には、フィルムメーカーとしての僕が、今回の作品に取り組むことをどう感じたかが表れています。僕は(シリーズの)素晴らしい要素や優れた知識など、良くも悪くも、ありとあらゆることを継承してきました。そして、すべてはここで終わる。問題は、成功させるのに必要なものをちゃんと持っているかどうかです。」
ちなみにライアンは、本作やJ・Jに対して「驚かされたいし、ゾクゾクしたい。予想だにしなかったことをやって欲しいし、それに付き合いたい」とのエールを送っていた。『フォースの覚醒』では職人としての才能をいかんなく発揮していたJ・Jは、どんな作家性をもってスカイウォーカー・サーガを締めくくるのか?
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』は2019年12月20日(金)日米同時公開。