マーベル『エターナルズ』重要テーマは「不死」か ─ 監督の次回作『ドラキュラ』にも継承

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作映画『エターナルズ』の重要なキーワードが、キャラクターの“不死”である可能性が浮上してきた。監督のクロエ・ジャオが意味深なコメントを残している。
『エターナルズ』は、宇宙種族・セレスティアルズが人類への遺伝子実験で生み出した“エターナルズ”の人々を描く、7,000年にわたる一大群像劇。登場人物のほとんどがエターナルズという設定だが、彼らの特徴は、それぞれに異なるスーパーパワーと、全員に共通する“不死の肉体”だ。物理的な攻撃によってエターナルズを倒すことはできないというが……。
米Varietyにて、ジャオ監督は「『エターナルズ』で“死なない”ということを描きはじめましたが、私はこのことについて問いかけ、そして理解したいのです」と語った。少なからず、監督自身が問題意識を持って挑んだテーマであることは確かだろう。
このコメントは、『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞に輝いたジャオ監督が、『エターナルズ』に続いて『ドラキュラ(原題:Dracula)』を撮ることについて語ったもの。「死なない」ことがエターナルズとドラキュラの共通点であり、また米The Hollywood Reporterでは、『ザ・ライダー』(2017)以来の「社会の周縁を生きる」というテーマも『ドラキュラ』には引き継がれると報じられている。『エターナルズ』も地球上で自らの姿を隠してきた人々を描くと言われているだけに、ジャオ監督のフィルモグラフィには複数のテーマが一貫することになりそうだ。
既報によると、ジャオ監督版『ドラキュラ』は“近未来のSF西部劇”。簡単には想像できないジャンルだが、ノンフィクション作品『ノマド: 漂流する高齢労働者たち』(春秋社)から『ノマドランド』を作ったのと同様、『ドラキュラ』でも「(原作の)背景を見つめ、隠された意味と本質を発見すれば、愛すべきキャラクターを創造し直すことができる」と語られている。この方法論は、おそらく『エターナルズ』でも例外ではなかったはずだ。
公開された短い本編映像でも、ジャオ監督のイマジネーションが『エターナルズ』にしっかりと発揮されていることがうかがえる。静謐な中に人間の生活と人生を描いてきたジャオ監督は、“死なない”という設定の中に何を見たのだろうか。
ちなみに、監督は『エターナルズ』の完成後は休暇に入るようで、『ドラキュラ』が次回作になるかどうかは明言を避けている。
▼『エターナルズ』の記事
Source: Variety, The Hollywood Reporter