【ネタバレ】元マンソン・ファミリーのメンバーが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観た感想語る

この記事には、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のネタバレが含まれています。必ず鑑賞後にお楽しみ下さい。
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マンソン・ファミリーの元メンバーが観た『ワンハリ』
米The Daily Beastのインタビューに答えたのは、ダイアン・レイク。1967年、14歳でマンソン・ファミリーの一員に加わった。ファミリー内では、“スネーク“の名で呼ばれていた。
1969年8月9日のシャロン・テート殺人事件当時もファミリーの一員だったが、彼女はファミリーが殺人を起こすような集団だとは気付いていなかった。テート事件については、事件後に実行犯であるテックス・ワトソンがニュースを語ってきたことで知ったという。ファミリーが揃って逮捕された後、レイクは自分の知っている事をすべて警察に打ち明け、捜査に協力した。レイクは現在、ロサンゼルスで新たな夫と暮らしている。
彼女は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』スパーン映画牧場の場面でも登場する。演じたのは、「ハンドメイズ・テイル /侍女の物語」にも出演のシドニー・スウィーニーだ。劇中でスネークの名が呼ばれるシーンには、レイクも劇場で驚いたという。エンドロールでは思わずスネーク役の名を探したということだ。「他にも、スクィーキーやジプシーもいましたね。そう言えば、ジプシーは全然似てなかったな。まぁ、私も似てませんでしたけどね。別に良いんですけど。」
マンソン・ファミリーが拠点としたスパーン映画牧場の再現度は「とても精確だった。」ただし、盲目のオーナーであるジョージ・スパーンの小屋の入り口階段は映画ほど長くなく、「確か2段くらいだった」とのことだ。
日中は眠っているジョージ・スパーンについては「あんな感じでした」と振り返って、「クエンティン・タランティーノなので、誇張されている部分もあるでしょう」と続けている。「家の中がすごく汚かったので、ゲェっと思いましたね。ゴミやネズミにまみれていて。ジョージは盲目だからネズミは見えません。確かにネズミは沸いていたかもしれないけど、でも私達は家の中をちゃんと出来る限り綺麗にしてたんですよ。家は古かったし、埃っぽかったし、塗装が剥げているところもありました。そこは精確でした。でも、スクィーキーの描き方は残念でしたね。あんなんじゃなかった。ちゃんとジョージの面倒を見ていましたよ。」
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のラストでは、時代に酷く暗い影を落とし、「ラブ&ピース」を終焉させたシャロン・テート殺人事件の史実を、タランティーノがおとぎ話として改変する。「とても賢い終わり方だと思いました」とレイクは評する。「映画の全編を通じて、何が来るかは分かるじゃないですか。チャーリーが(シャロンの)家を尋ねてくるのが伏線ですよ。さて、(殺人事件を)どう描くんだろう?って。あの大事件をですよ。でも最終的には、違う家に向かっていく。」
インタビューでレイクは、声をかすませながらこう答えたという。「(ファミリーの)みんなのことは大好きでした。辛いです。あんな恐ろしい、惨い事件を起こして……。」
タランティーノとマーゴット・ロビーは、本作でシャロンを描くにあたって、「悲劇を掘り下げるつもりはない」と語った。シャロンといえば、どうしても悲劇的な最期として語られることを苦に思ったタランティーノは、映画ではシャロンの奪われた日常を描くことに専念した。「ただ彼女の生活を見られるだけでも、特別なことじゃないか」と考えたのだ。
レイクにとって、これが堪えた。シャロンの何気ない日常のシーンが、元マンソン・ファミリーとして最も見るのが辛かったところだという。「シャロンに涙が流れました。映画の中では、みんなが活き活きとしてリアルで。ただの名前だけの存在じゃなかったからです。シャロンは新進気鋭の若手女優でした。映画館の中に入れてもらって、座席に脚を上げて、嬉しそうに自分の映画を観ていて。それが愛おしくて。あぁ、本当はあんな人生だったんだなぁって。」
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は大ヒット公開中。
Source:The Daily Beast