【ネタバレ】『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』マルチバースの◯◯どうなる、ケヴィン・ファイギが語る

この記事には、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。
マルチバースと言ったな、あれは嘘だ
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には(良い意味で)まんまと踊らされた!という方も多いだろう。「新ヒーロー」「トニー・スタークに代わるピーターの師」とさんざん宣伝されていたミステリオ/クエンティン・ベックも、やっぱり原作の設定どおり悪役だったわけである。彼が「別の世界からやってきた」という設定も嘘だったわけで、ということは、世界中のファンを騒がせた「マルチバース」も偽りということに。(本記事の前ページにおいても、未見の方のために、ミステリオはヒーローであり、マルチバースが顕在化したという説明を残しておかなければならない事情をご理解いただきたい。)
劇中でミステリオは、ピーターたちが存在する世界線は「アース616」で、自分は「アース833」からやってきたと詐称。この呼称も、とんでもないブラフであった。コミックやアニメ、ゲーム、映画、すべてのマーベル・ユニバースの多元宇宙には数字が振られていて、コミックにおける正史世界こそ「アース616」なのだ。「アース833」は、コミック『スパイダーバース』に登場したスパイダーUK/ビリー・ブラドックの出身。MCUで、ついにナンバリングされたアースの概念が語られたとして、公開前よりファンの間では大ごととなっていた。(ちなみに、本来MCUの宇宙は、メタ的には「アース199999」ということになっている。)
マーベル・スタジオとソニー・ピクチャーズにとって、これが実に巧みな宣伝材料となった。マーベル・スタジオの親会社であるディズニーが20世紀フォックスと事業統合を行ったことにより、フォックスの有するマーベル・キャラクター、たとえばX-MENやデッドプール、ファンタスティック・フォーがMCUに登場できることになったのだ。ともなれば、X-MENたちが別のアースから平行世界間を移動してMCUに出現する、との考察が盛り上がる。そのため『ファー・フロム・ホーム』は、フォックス合併後のMCUを占う、言わば「マルチバース元年」を宣言する物語になると噂されたのだ。
マルチバースの存在どうなる?
結局、これはミステリオが手下のライターに書かせていたシナリオだったため、ひとまず平行世界間の移動や「アース」は、全てフェイクだった。マルチバースの秘める可能性について様々な考察を繰り広げたファンたちは、あまりにも痛快な肩透かしを食ったわけだ。それでは、結局MCUにマルチバースは存在しないのか?米Fandangoのインタビューに答えたマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギは「そんなことはない」と答える。
「ただ、彼(ミステリオ)がデタラメ野郎だったたけです。『ドクター・ストレンジ』で、エンシェント・ワンがマルチバースを語っていましたよね。だから、我々はもうマルチバースを、存在するものとして定めているんですよ。」
『ドクター・ストレンジ』では、エンシェント・ワンがストレンジのアストラル体を体外に弾き飛ばし、ストレンジが極彩色の異次元世界に放り出される場面でマルチバースが語られる。ここでエンシェント・ワンがストレンジに説くのは、「この物質的な世界」が全てではないこと、および「この宇宙は無数の中のひとつ」であること。「マルチバース」の語句もはっきりと登場する。
さて、改めて考察の余地があるようだ。確かに「マルチバース」の概念そのものは、『ドクター・ストレンジ』の時点でMCUには存在する。今後、MCUはこの魔法的概念をいかに取り扱うのか?それとも取り扱わないのか?新たなキャラクターが別世界より現れるというストーリーラインを『ファー・フロム・ホーム』でフェイクとして描いたのには、何か意図があるのだろうか?『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、過去に戻ったキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャーズが正史とは異なる人生を歩んだことにより、新たに並行世界が生じたとの見方もある。こちらは未だに漠然としているが、MCU版マルチバースの設定に絡んでくる可能性もあるだろう。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は公開中。
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp/
Source:Fandango