たとえ訓練でも命懸け、『ファースト・マン』過酷なトレーニングシーン ─ IMAXで観たい映像表現にも注目

『ラ・ラ・ランド』(2016)のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴスリングが再タッグを組む『ファースト・マン』が、月面着陸から50周年のアニバーサル・イヤーとなる2019年2月8日(金)にいよいよ全国の映画館で公開される。
本作は第91回アカデミー賞にて録音賞・音響編集賞・視覚効果賞・美術賞の4部門にノミネート、ゴールデングローブ賞ではクレア・フォイが助演女優賞にノミネートされ、ジャスティン・ハーウィッツが作曲賞に輝くなど高い評価を受ける注目作だ。このたび公開に先がけて、ライアン・ゴズリング演じるニール・アームストロングが月面着陸の訓練に励むシーンの本編映像が到着した。
今回公開されたシーンは、ニール・アームストロングが、月面に着陸するための機体「月着陸船」による着地訓練に挑むという場面。月面着陸訓練機(LLTV)に乗り込んで空中に打ち上がったニールは、ある一定の高さまで浮上すると「月モード」にシフトチェンジ。そのまま着陸態勢に入って降下を試みるが、機械トラブルのせいで操作の制御が効かず、機体は急降下。命の危険を察したニールは脱出パラシュートを起動し、地面に身体を打ち付けながらも生還する。
身体がむき出しになっているうえ、お世辞にも精巧とはいえない機体からは、拙い技術のなか、たとえ訓練であっても命懸けで挑戦するしかなかった、当時の月面着陸計画の過酷な裏側を垣間見ることができる。本年度のアカデミー賞にノミネートされた技術チームは、実際に行われていた訓練の様子を忠実に再現したのである。
ちなみに実在したニール・アームストロング本人は、月面着陸を成功させるためなら実験的なトレーニングを恐れない姿勢だったそう。月面着陸訓練機のシミュレータを使用して訓練に臨んだ際、機体の調子が悪かったことを利用してわざと機体を墜落させ、その状況にミッションコントロールセンターがどう対応するかを観察したという“逆テスト”のエピソードも残されている。

第91回アカデミー賞で美術賞にノミネートされている美術監督(プロダクション・デザイン)のネイサン・クロウリーは、この映像に登場する月面着陸訓練機について「これは現代では決して使用しないマシンです」と述べた。「月着陸船を着地させるのが自分の役目だと知ったニールにとって、唯一の訓練方法はこの装置に乗ることでした。そして訓練中に事故が起こり、彼はクラッシュ寸前でなんとか脱出する。それでもニールは何度もトライするんです、ほかに訓練方法がなかったから」。
またニール役のライアンは、役柄を深く理解して演じるために実験的なトレーニングにも果敢に挑戦。その時、ニール・アムストロングという飛行士の非凡さを身をもって体感したという。
「トレーニング中、航空機を失速状態にするよう指示された時には戸惑いましたね。恐ろしい挑戦でした。その時、なぜニールが世界有数のパイロットで、自分がそうでないかを痛感したんです。ニールもほかの宇宙飛行士と同様、テストパイロットからキャリアをスタートさせている。今までに一度も空を飛んでいない航空機に乗り込み、航空技術の発展のため、限界点まで飛行して欠陥を見つけるなんて、そんなことができるのは本当に限られた人間だけですよ。」

命を懸けて月面着陸計画に挑戦し続けたニール・アームストロングたち宇宙飛行士の姿が、アカデミー賞にノミネートされた映画界屈指のスタッフと最新技術によって、50年の時を超え、リアリティたっぷりにスクリーンに蘇る。
映画『ファースト・マン』は2019年2月8日(金)全国ロードショー。
『ファースト・マン』公式サイト:https://www.firstman.jp/