21世紀フォックス株主、ディズニーとの事業統合に「待った」 ― 情報の不足で裁判所に訴えを提出

ウォルト・ディズニー・カンパニーと21世紀フォックスの事業統合に、思わぬ「待った」がかけられた。2018年7月6日(米国時間)、21世紀フォックスの株主が両社の取引中止を求める訴状をデラウェア州の裁判所に提出したという。米The Hollywood Reporter誌が伝えている。
このたび集団代表訴訟(クラスアクション)に踏み切ったのは、21世紀フォックスの株主であるロバート・ワイズ氏。訴えによれば、21世紀フォックスから6月28日に提出された資料には、同社の財務計画や、投資銀行であるゴールドマン・サックスやセンタービュー・パートナーズによる財務評価が記されていなかった、あるいはごまかされていたという。
ロバート氏は訴えの中で、「状況が改善されなければ、21世紀フォックスの株主は、提案されている取引に関する情報をすべて開示されないまま、取引への投票や評価の判断を強いられることになる」としている。端的に言えば、株主が事業統合についてなんらかの判断を下すには、企業側から与えられた情報が少なすぎたというわけだ。なお具体的には、21世紀フォックスの有する米Huluの財務計画などが不足していたという。
2018年6月20日(米国時間)、ディズニーと21世紀フォックスは、米コムキャストの再入札が報じられるなか、新たな買収額713億ドル(約7兆8,500億円※1ドル約110円換算)にて事業統合に合意した。その後、6月27日にはディズニーによる買収を米司法省が承認している(ただし承認にあたって、ディズニーは買収を予定していた、21世紀フォックスの有するローカルのスポーツ・チャンネル22局を手放した)。コムキャストによる再入札の可能性は残されているが、まだまだ状況は読めないところだ。
このたび報じられた21世紀フォックスと株主間の訴訟については、企業側の対応によって穏やかな結末に落ち着く可能性が高いとみられる。今後の情報にも引き続き留意しておきたい。
Source: THR
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