ウェス・アンダーソン監督新作の予習名作5本 ─ ティモシー・シャラメ、ベニチオ・デル・トロほか出演

ウェス・アンダーソン監督は、最新作『The French Dispatch(原題)』の撮影前に、ティモシー・シャラメやベニチオ・デル・トロをはじめとするキャスト&スタッフに対し、フランス映画史に残る名作5本の鑑賞を求めたという。米IndieWireのインタビューにて、ウェス監督作品でお馴染みの撮影監督ロバート・D・イェーマンが明かしている。
名作映画の鑑賞は、本作で描かれる時代背景を理解するために必要不可欠だとして要求されたもの。ウェス監督が挙げた作品は、ジャン=リュック・ゴダール監督による、一人の娼婦の悲劇を描いた『女と男のいる舗道』(1962)、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督による、歌手・ジェニーと嫉妬深い夫のピアニスト・モーリスが思いもよらない事件に見舞われる『犯罪河岸』(1947)、クリスティーナが横暴な夫ミシェルを殺害したことから、不可解な出来事に巻き込まれていく姿を捉えた『悪魔のような女』(1955)。そして、マックス・オフュルス監督による、作家ギ・ド・モーパッサンの短編を原作とする全3編のオムニバス映画『快楽』(1952)、フランソワ・トリュフォーによる、家にも学校にも居場所のない少年の孤独と自立を描いた『大人は判ってくれない』(1959)だ。
ウェス監督は以前から、『大人は判ってくれない』について「映画を作りたいと思うようになったきっかけの作品の一つだと思いますね」と語っていた。一方でイェーマンは、ウェス監督が挙げた5作品について「テーマとスタイルの両方から、その時代に作られたフランス映画の雰囲気を感じ取ることができました」と話している。なおウェス監督は、映画だけでなく、書籍や雑誌記事もスタッフやキャストに提供していたという。
『The French Dispatch』は20世紀フランスの架空の街を舞台に、アメリカ発の新聞社「The French Dispatch」の記者たちを描く“ジャーナリストたちへのラブレター”。新聞記事を模した、投獄された画家をめぐる「The Concrete Masterpiece」、不当な政治に対する学生運動を描く「Revisions to a Manifesto」、そして警察にて働くシェフを主人公とする「The Private Dining Room of the Police Commissioner」という3つの物語で構成されており、イェーマンは「それぞれの物語が放つトーンとスタイルに魅了されました」との賛辞を寄せている。
出演者はベニチオ・デル・トロ、ジェフリー・ライト、ティモシー・シャラメといったウェス監督と初タッグの顔ぶれをはじめ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディらアカデミー賞の常連組、オーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイといったウェス作品常連組が集結。レア・セドゥ、マチュー・アマルリックという世界で活躍するフランス勢も参加している。
映画『The French Dispatch(原題)』は2020年7月24日に米国公開予定。
Source: IndieWire