◯◯な役が似合いすぎ?ゲイリー・オールドマンの魅力を出演作と共に振り返る
「カメレオン俳優といえば?」と聞かれると真っ先にあがる名前はやはり、『ダークナイト』や『マシニスト』で驚きの肉痛い改造っぷりを披露したクリスチャン・ベイルや、『ダラス・バイヤーズクラブ』でのガリガリ具合や『チャプター27』での怪演が話題となったジャレッド・レトだろう。
ライアン・ゴズリングといえば『ラ・ラ・ランド』にしろ『ドライヴ』にしろ「憂いがある役が似合う俳優」ではないだろうか。ジョニー・デップといえば『アリス・イン・ワンダーランド』『ダークシャドウ』などで見られるように「白塗りが多い俳優」。彼があまり普通の顔でスクリーンにいるところを見たことがない。??
このように、映画好き同士で語ると楽しい「◯◯な俳優といえば」、ゲイリー・オールドマンという俳優に関してはかなり盛り上がれるんじゃないだろうか?

サスペンスにクライムムービー、ファンタジーからアメコミ作品まで幅広い作品に出演するゲイリー・オードマン。今日は御年59歳、「ゲイリー・オールドマンといえば◯◯!」を過去の作品から振り返っていこう!????
1: ブチ切れ役がかっこいい男、ゲイリー・オールドマン
ゲイリー・オールドマンのデビュー作は、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスと彼の恋人ナンシーの刹那的な恋愛を描いた『シド・アンド・ナンシー』だ。彼はこの作品でシドをそっくりに演じきったが、どことなくあどけなさと滲み出る品の良さが印象的。??

そんなデビューから7年後、ゲイリーはシド・ヴィシャスから『トゥルー・ロマンス』で娼婦のポン引きになっていた。ドレッドヘアに濁ったカラーコンタクトという気味が悪いルックス、そしてここでは主人公(クリスチャン・スレイター)をボッコボコ。
一番有名な”キレ役”はやはり『レオン』のスタンフィールド捜査官だろう。「スーツが汚れた」と言ってはブチ切れ、麻薬が切れてもブチ切れ、クラシックを流しながらブチ切れる。少々狂った役を演じたら、ゲイリーの右に出るものはいない!??
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おじいちゃんになってもそのキレっぷりは健在だ。2012年の『欲望のバージニア』では登場シーンから銃を乱射しまくり、ハリウッドの問題児シャイア・ラブーフをヒイヒイ言わせている。??
2 😕”普通じゃなさすぎる”が似合う男、ゲイリー・オールドマン
??ジョニー・デップも人造人間やら吸血鬼やら不思議の国の帽子屋やら、人間ではない役が似合う。ジョニーは確かに二枚目俳優だが、トム・クルーズやブラット・ピットなど”王道イケメン”たちと比べると少々個性的な顔立ちにも思える。
ゲイリー・オールドマンはそこまでクセのない、上品な顔立ちの英国男子のはずなのだがなぜか奇怪な役もぴったりはまる。??

1992年の『ドラキュラ』。ゲイリーが演じたのはもちろん吸血鬼、ドラキュラ伯爵だ。ラクダのこぶのような変な髪型に赤いガウンのようなへんてこな衣装、白塗りの老メイクで原型をとどめていない姿を披露。しかし『ドラキュラ』はこの”人間ではない”ゲイリーと、若返った美男子姿のゲイリーどちらも見ることができる珍しい作品なのだ。??

髪型が変な役といえば『フィフス・エレメント』だ。ゲイリーが演じるのは悪役である武器職人、ゾーグ。この時は右半分だけ剃りあげ、片側は魚の切り身のような髪型をのっけたような相当気持ち悪い髪型をしている。(魔法使いを演じた『ハリー・ポッター』の時の方がよっぽど人間らしい!)
しかしどんなに気持ち悪い髪型をしても、ドラキュラでも魔法使いでも、ゲイリーが演じるとつっこめないほどの凄みが滲み出る。ほとばしり出るような狂気とつかみどころのない独特な不思議な彼の持つ雰囲気、端正なルックスとそのギャップが彼の”普通じゃない役が似合う”理由だろう。??
3 : とんでもない死に方しすぎな男、ゲイリー・オールドマン
ゲイリー・オールドマンは劇中でよく死ぬ。めちゃくちゃなやり方でよく殺される。?
例えば2001年公開の『ハンニバル』。ゲイリーはハンニバル・レクターを仇にする男メイスンを演じており、この映画では最期イノシシに食い散らかされるというむごさである。(ちなみにこのメイスン役もずっと特殊メイクなので、ゲイリーの原型は見られない。)

2006年の映画『スパイラル・バイオレンス』では銃殺されたのち、砂にスルスルと埋もれていくし『レオン』や`『フィフス・エレメント』では爆発によってこっぱみじん。?
『ハリー・ポッター』シリーズで演じたシリウス・ブラックは、ヘレナ・ボナム=カーター演じるベラトリックス・レストレンジに呪文をくらい”フワッと”消えるように死んでいく。壮絶な戦いにしては、わりとあっけない死に方なのである。?
悪役だからこそ映画内では死んでばかり、それでも主役を超えるほどの存在感とキャラの濃さ。しかし本人もイノシシに食べられて死ぬのは、ちょっと不本意だったかも・・・?
普通のゲイリーを観たいあなたに?
そんなこんなでせっかくのルックスが原型をとどめていないとんでもない役だったり、人間ではない役が多いゲイリー・オールドマン。普通のゲイリーが観たい!という時にはぜひ2011年『裏切りのサーカス』や1994年の『不滅の恋/ベートーヴェン』を。

『裏切りのサーカス』では寡黙で優秀なスパイである”英国紳士”なゲイリーを、『不滅の恋/ベートーヴェン』では繊細で哀愁に帯びた芸術家を演じるゲイリーを観ることができる。ベートーヴェン役もぴたりとはまっていて、その気品ある表情を見るとスタンフィールド役と同一人物とは思えない。?
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ゲイリー・オールドマンといえば?キレ役が似合って、変な役が似合って、よく凄まじい死に方をして、そして品にあふれた英国紳士である!その演技力と抜群の個性と存在感で、映画界に欠かせない俳優。ぜひおじいちゃんになっても、キレッキレの役を演じ続けてほしいところ!?
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Eyecatch Image:http://www.imdb.com/name/nm0000198/mediaviewer/rm4048915968