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アメリカの若者、映画やドラマを観る理由は「現実逃避」が1位 ─ 米調査

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アメリカのZ世代(10〜24歳)を対象にした調査結果をUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)がまとめた報告書「Teens & Screens」が話題だ。10歳〜24歳の1,500名を対象に行われたこの調査では、若者が映画やドラマにセックスシーンや恋愛描写をあまり求めていないことが明らかとなり、多くの議論が起こっている。

報告書には、ほかにも興味深い発見がある。映画やドラマの中で「見たいもの」を尋ねた項目では、「困難に打ち勝つ人々を描く、希望に満ちた高揚感のあるコンテンツ」を望むという回答が1位となった。以下、「自分のような人生を送る人々」「アクションや格闘シーン(銃や暴力を含む)」「スーパーヒーロー」「友情やソーシャル・グループ」「家庭生活や両親との関係性」「セックスや恋愛描写のないコンテンツ」「自分とは違う人生を送る人々」と続いた。

コンテンツには希望や高揚感が最も求められているという結果は、映画やドラマを鑑賞するにあたっての理由や動機を尋ねた項目の結果とも本質的に一致する。ここでは、「現実逃避をして気を紛らわすため」が35.7%で1位となった。さらに「自分の娯楽のため」(33.9%)が2位で、「他の人と交流し、人との繋がりを築くため」は13.5%となった。

これらを考察すると、アメリカのZ世代は「現実逃避」のため、映画やドラマに「希望や高揚感」を求めていることがわかる。アメリカ心理学会による2018年の調査によると、Z世代は「銃乱射事件」や「自殺率の増加」「気候変動」「移民家族の分離と強制送還」「セクハラ、性加害」といった報道に対して、大人たちよりも強いストレスを感じている。また、自分のメンタルヘルスが「良好」「非常に良好」と答える割合は、全世代の中でも最低となった。

コロナ禍後に実施された別の調査によると、アメリカでは若者世代であるほどに「抑うつ」「不安症」の有病率が高いとされる報告もある。こうした社会背景が、コンテンツの視聴傾向にも現れているのかもしれない。

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Source:UCLA,APA,ニッセイ基礎研究所

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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