セクハラ告発、降板騒動…リドリー・スコット『ゲティ家の身代金』公開1か月前、怒涛の再撮影は如何にして行われたか

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)『グレイテスト・ショーマン』(2018)のミシェル・ウィリアムズや『ディパーテッド』(2006)『ローン・サバイバー』(2014)のマーク・ウォールバーグら豪華キャストが共演を果たすサスペンス映画『ゲティ家の身代金』が2018年5月25日に公開される。
『エイリアン』(1979)『オデッセイ』(2015)などで知られる巨匠リドリー・スコットがメガホンを取った本作は、フォーチュン誌によって世界初の億万長者に認定された石油王ジャン・ポール・ゲティの孫が、1973年にローマで誘拐された事件を映画化したもの。当時史上最高額ともいわれた1,700万ドルの身代金を要求されるが、50億ドルの資産を持つゲティは支払いを拒否。事件の裏側には、誘拐犯とゲティの間で戦い続けた人質の母親、アビゲイル・ハリスがいた……というストーリーだ。
「一人の行いが全員の仕事を台無しにする事などあってはならない」
実は今作、本来ジャン・ポール・ゲティを演じる予定だったケビン・スペイシーがセクハラ問題で告発されたことを受け降板。ピンチヒッターとして『Dr.パルナサスの鏡』(2009)『ドラゴン・タトゥーの女』(2011)などで知られる名優クリストファー・プラマーが起用され、公開1か月前に再撮影が行われたのである。このスペイシー降板、そしてプラマーを迎えての再撮影に至るまでの騒動を収めた映像が公開された。
映像はキャストのインタビューに本編映像を織り交ぜながら展開される。リドリー・スコット監督は映像内で「一人の行いが全員の仕事を台無しにする事などあってはならない」とコメントを発表。急遽決定した再撮影に対してミシェル・ウィリアムズは「再撮影に迷いはなく、むしろ喜んで引き受けた」「リドリーはリスクを恐れなかった」と発言、マーク・ウォールバーグは「誰もがベストを尽くそうと集まった」と明かしており、全員が一致団結して再撮影に臨んだ様子が伺える。
急遽オファーを受けたクリストファーは、かねてよりリドリー・スコットと仕事をしたいと思っていたのだという。「こんなにも手短にやるなんて、リドリーの勇気はすごい」と監督の大胆な決断、そしてその実力を褒め称えた。
公開1か月前の再撮影というだけでなく、役者も変えて撮影するという前代未聞の撮り直しは無事成功し、当初の公開日にも間に合わせることができた。更に驚くべきことにクリストファーはこの演技で、史上最年長でアカデミー賞にノミネートされているのである。
映画『ゲティ家の身代金』は、2018年5月25日(金)より日本公開。
『ゲティ家の身代金』公式サイト:http://getty-ransom.jp/