鬼才テリー・ギリアム監督、キューブリック幻の原案を映画化しようとしていた ─ 9月に撮影予定も「ロックダウンで全て台無しに」

『フィッシャー・キング』(1991)『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(2018)などで知られる鬼才テリー・ギリアム監督が、故スタンリー・キューブリック監督による幻の原案を基にした新作映画(タイトル不明)を準備していたことがわかった。
Ventotene Film Festivalのインタビューに登場したギリアム監督は、「スタンリー・キューブリックの原案を基にした作品を準備していました」と次回作について口を開いた。本作は2020年9月に撮影を控えていたものの、新型コロナウイルスの影響で状況が悪化してしまったようだ。「脚本も出演者も決まっていました。ただ、ロックダウンの影響で全てが台無しになりましたよ」。新作映画の企画自体が頓挫したのかまでは定かでない為、今後の動向に注目したいところだ。
幻の企画を数多く遺して、キューブリック監督はこの世を去ってしまった。キューブリックの研究者フィリッポ・ウリビエリは、今回ギリアム監督が手掛ける予定だった作品は、『現金に体を張れ』(1956)『突撃』(1957)のジム・トンプソンと共に執筆された短編『Lunatic at Large(原題)』のことだと証言。2010年にはスカーレット・ヨハンソン&サム・ロックウェル主演で映画化と報じられたものの、未だ実現には至っていない。
とはいえ、真相は不明の為、その他の作品であることも十分に考えられる。米The Playlistが例として挙げているのは、キューブリック監督が長年に渡って情熱を注ぎ、『2001年宇宙の旅』(1968)の次回作として準備していた伝記映画『Napoleon(原題)』だ。同作はフランス皇帝ナポレオンを描く物語で、脚本を含め全ての撮影準備が整っていた。ところが、セルゲーイ・ボンダルチューク監督が同題材を基にした『ワーテルロー』(1970)が興行的失敗に終わったことを受けて、製作直前で頓挫してしまったのだ。
『Lunatic at Large』『Napoleon』あるいは他の作品にせよ、今回明らかになったギリアム監督の新作映画が現在も進められているとすれば、キューブリック監督が悲願した作品が蘇るということに変わりはない。とにかく、いずれ新たな情報が到着することに期待しよう。
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Source: The Playlist , La Repubblica , The Guardian , Fillippo Ulivieri