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なんだか気になる!何故このオススメ『韓国映画』厳選3作は心に残る作品なのか?

映画は監督によってはもちろん、作られた国によっても だいぶ雰囲気は異なりますよね。どんな内容であれ最後はみんなで踊るインド映画。作品を通して”含み”がもたせられている、アート作品のようなフランス映画。

では”韓国映画”と聞いて、皆様どんなイメージを浮かべるでししょうか。今まで観たことがない方にとっては、「なんか気になるけれどよくイメージがつかない」「どんなものがあるか分からない」「隣のクラスの気になる女の子的存在」なのではないでしょうか。

現在上映中のヤン・ウソク監督作品「弁護人」。ノ・ムヒョン大統領が弁護士時代に担当した事件がベースとなっているとあって、今巷では注目を浴びています。

今回は”韓国映画”ってどんな感じ?というのを ジャンルの違ういくつかの作品とともにご紹介したいと思います!

サスペンス

「オールドボーイ」

原作は日本の漫画、そしてハリウッドでもリメイクされたパク・チャヌク監督によるサスペンス・アクション「オールドボーイ」。パク・チャヌク監督は”復讐三部作”と題して復讐に心を捧げてしまった人々を描く映画を製作していて この「オールドボーイ」は2作目。

ストーリーはごくごく平凡な男がある日突然誘拐、15年間監禁され 解放された後自身が監禁された謎を解明するために奔走する・・・というものです。
韓国のサスペンスに共通すると感じるのはとにかく「後味が悪い」ということ。観終わった後しばらく現実世界に戻ってこれないほど、鈍器に殴られたような衝撃を受けます。
この「オールドボーイ」も映像も作品を通して暗く、復讐に燃え狂気にかられた主人公の心情を表しているかのよう。監禁される前の主人公は”ただのおじさん”。体もなんだかだらしなく、しまりがありません。しかし解放された後はまるで別人物かのように、”野生”がむき出しになっているように思えます。そんな主演俳優、チェ・ミンシクの演技力も見所です。

この「後味の悪さ」は、(このオールドボーイは特別そうですが)普段口にすることがはばかれるような”禁忌”に触れているからでしょう。それでも自分には絶対に起こりえないことなのに、あってはならないことなのに、想像してしまうのです。「もし自分がこの主人公の立場になったらどうなってしまうのだろう」と。
ハリウッド映画などで思うのですが、例えばホラー映画を観ていてもあまり”親近感”は感じられませんよね。悪魔系など日本ではあまり馴染みのない怖さを描いているせいもあると思いますが おそらく人種が全く違うので、遠い出来事のように思える・・・というのはあると思います。

その点韓国映画は” 親近感”がばっちり感じられます。サスペンス映画ではおそろしいほどに。同じアジアの国、そして街並みなどでも日本と似通ったところがあります。それが余計に私たちを映画の世界に入り込ませ、主人公の気持ちを汲み取ろうとし “後味”につながっているのです。

「後味が悪い映画」というと聞こえは悪いですが 主人公の壮絶な闘いや葛藤、予期できない次々と解き明かせる謎に引き込まれ、観たら忘れることができない作品です。きっとこの”とにかく重い韓国サスペンス”にはまってしまうと思います。
余談ですがこの「オールドボーイ」には主人公がタコを踊り食いするシーンがあります。吸盤が顔に張り付いていてちょっとおもしろいので、ご覧になる際はぜひチェックを。

ラブストーリー

「寵愛」

http://youtu.be/VvTpczR78Jk

ライターの男と、ヌードモデルの女。インタビューを通して出会った2人。女は男の部屋に転がりこむようになり、体の関係を結ぶようになる。美しい哀しい愛の物語です。
韓国映画ってやたらとエロいんです。濡れ場がとても多い。ほぼポルノなんじゃないかぐらい生々しく、リアルに感じられる作品もあります。この「寵愛」も濡れ場のシーンが大半なのですが、全て美しく まるで踊っているかのようにさえ感じられます。

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お互いを求めあっているはずなのに哀しく、寂しさを感じられる真っ白で無機質な部屋。誰かを愛してしまうこと、愛が報われないことの”孤独”、閉鎖された空間で進んでいく倒錯した愛。「ドリーマーズ」や「17歳」など、美しく官能的でいて退廃的な雰囲気がただようところは フランス映画とちょっぴり似通うものがあるかもしれません。セクシーなシーンに目が向けられがちですが、恋をしたことがある人なら誰でも感じたことのある”哀しみ”が突き刺さる 大人のラブストーリーだと思います。

ドラマ

「春夏秋冬、そして春」

鬼才として知られるキム・ギドク監督。「悪い男」「魚と寝る女」など、刺激が強くグロテスクな作品が印象的ですが 、珍しく(?)全体を通して静かに描きあげたのがこの「春夏秋冬、そして春」。

これは”春、夏、秋、冬”という季節と人間の”幼少期、少年期、青年期、壮年期”とかけて映し出したものです。一年の流れが人間の人生と似ているのか、人生が季節のようなものなのか・・・そんなことを観ている途中に考えてしまいます。
作品は至極静か、ゆったりしたもの。舞台も人里離れた、湖に浮かぶお寺。台詞もほとんど無し、登場人物もわずか。眠い時の観ると絶対に眠くなること間違いなし。私たちは映像から主人公の気持ちを読み取らなければいけません。

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とことん静かに進められる作品ですが、人が感じる様々な葛藤や壁が描かれています。”恋をするということ”、”罪を犯すこと”、”償うということ”。人は間違いを犯すこともあり、人と出会い、物事を感じ、そして生き続ける。”輪廻転生”や”一人一人の人生”といったものを、キム・ギドク監督は描きたかったのかもしれません。とても美しく幻想的で、情緒に溢れた まるで詩や絵画のような映画だと思います。

まとめ

過激で暴力的な描写が多いものもあれば、官能的な描写が多いものもある。と思えば芸術作品のような映画もある。監督や作風は違えど、韓国映画には”生”の生々しさがどれも色濃く反映されている気がします。その”生”が時に重苦しく、時に美しく 絶妙なバランスで描かれているところが 独特の”韓国映画の余韻”に繋がっているのではないかと。

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スピード感と重苦しい雰囲気が癖になるサスペンス、官能的で情熱的なラブストーリー、今回ご紹介できませんでしたが クスッと笑えて若者文化を知ることができるコメディや トラウマになりそうなクオリティのホラーまで。韓国映画の世界、ぜひ堪能してみてください。

Writer

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Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)

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